しじ)” の例文
鍬入れて、しじふるひて、掻きならす土はよき土。春雨のよべのしめりに、けさ蒔くや、種子はひなげし、金蓮花、伊勢のなでしこ。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
併し、「夏山の木末の繁に」といって生かしているのを後代の吾等は注意していい。「しじに」は槻落葉つきのおちばにシゲニとんでいる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
亂れを痛みさめざめとしじにそそぎぬ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
まれにのみきし涙のしじに流るる
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
長息なげきよ、しじにうらびれて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
大伴家持おおとものやかもち霍公鳥ほととぎすの歌であるが、「夏山の木末のしじ」は作者のたところであろうが、前出の、「山の際の遠きこぬれ」の方がうまいようにもおもう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
つくづくと身をいとほしむもとごころ湯にひたりつつしじにゆすり来
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
長息なげきよ、しじにうらびれて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
秋萩を妻鹿こそ、一子ひとりごに子たりといへ、鹿児かこじもの吾が独子ひとりごの、草枕旅にし行けば、竹珠たかだましじき垂り、斎戸いはひべ木綿ゆふでて、いはひつつ吾が思ふ吾子あこ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
我が山は落葉しじなり風呂立てて二十日はつかまり焚きていまだ散り敷く
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
文字の如、殘りぬしじに。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
しじに出て帰れば吾子のいふことのこのごろ痛しおぼえそめにき
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しじにうつ櫓の音こほりてくる夜は荒磯ありその蠣も附きがたからむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かへる子ぞしじれたれこの水を親のかへるの影ひとつ無し
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
かへる子ぞしじれたれこの水を親のかへるの影ひとつ無し
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むなしかり死にしかすけき爲すなかり我は世に生きてしじに喜ぶ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
むなしかり死にしかすけき為すなかり我は世に生きてしじに喜ぶ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
物のあやしじにしへばかいさぐる我が指頭ゆびさきに眼はのるごとし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昼の間を干潟に黒き海苔粗朶のゆふべはしじに汐にひたり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
背は向けてやいとこらふる若葉どき妻が手触たふりしじるかも
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しじに見てあつき涙のこぼれけりかく堅氷かたごほりのまつしろのひび
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
る蝉の鋭聲とごえしじながら立秋を今日を涼しくおもほゆ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
る蝉の鋭声とごゑしじながら立秋を今日を涼しくおもほゆ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
噴く綿のおだしき雲のたたなはり影しじにして熱度けぶかき
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
三柱宮みはしらぐう水照みでりしじなる石段いしきだに瑪瑙の小蟹ささと音あり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大御船おほみふね真梶まかぢしじぬき
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大御船おほみふね眞棍まかぢしじぬき
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)