給金きゅうきん)” の例文
なぜって、おれの給金きゅうきんをこれといって、きめてくれないのだから、それぐらいのことをしたって、なんでもないはずなのだ。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
給金きゅうきんなどはいただこうとおもいません。ただ、心のただしい人びととひとつ屋根の下でくらさせていただきたいのです。
「わたしの所へいてあげよう。けれど給金きゅうきんははらえないよ。おまえさんはまだ一人前ではないからなあ。いまにすこしはあげられるようになるかもしれない」
炭三両二分ばかり、大根漬一両三分ばかり、菜蔬さいその料家具の料十四、五両、衣服の料また十七、八両、普請ふしんの料六、七両、給金きゅうきん八、九両、地代二十二、三両、都合百両余を費すべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ただ彼の知っているのは月々の給金きゅうきんを貰う時に、この人の手をると云うことだけだった。もう一人ひとりは全然知らなかった。二人ふたり麦酒ビイルの代りをする度に、「こら」とか「おい」とか云う言葉を使った。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
幸三こうぞうのもらっている給金きゅうきんだけでは、おもうように手当てあてもできなかったのです。かれは、それをかんがえると、かなしくなりました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぜんたいを引き取るというのは、その養育料よういくりょうをはらってもらうためではない、はたらかせるためなのだ。それから金を取り上げこそすれ、給金きゅうきんなしの下男げなん下女げじょに使うのだ。
わたしはどの点より見ても、しごく有福ゆうふくになったのです。お給金きゅうきんはらいもどして、一本だちの人間にんげんにしていただこうとおもえば、いつでもそのくらいのことはできるのですよ。
「ふつうではありませんか。あのかたは、ここはお給金きゅうきんやすいから、といっていましたが。」と、こたえました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし、あなたさえいてくださるなら、この人形にんぎょう着物きものをあなたにあげて、そのうえ給金きゅうきんもさしあげますから、明日みょうにちから、人形にんぎょうわりになってくださいませんか?
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おはるは、用事ようじをすまして、おうちへかえると、自分じぶんがしまっておいたお給金きゅうきんなかから、五十せん銀貨ぎんかを一まいとりだしました。そして、かみにつつんで交番こうばん巡査おまわりさんのところへもっていきました。
朝の公園 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いえ貧乏びんぼうなのに、不作ふさくがつづいて、ますます一は、くるしい生活せいかつおくっているので、きよは、毎月まいつきもらうお給金きゅうきんのうちから、幾何いくらかをおくって、おやたすけているのですが、それでもりないとみえて
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなには、もうだいぶ、給金きゅうきんがたまったころであります。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)