私等わたしら)” の例文
我身わがみうへにもられまするとてものおもはしき風情ふぜい、おまへ出世しゆつせのぞむなと突然だしぬけ朝之助とものすけはれて、ゑツとおどろきし樣子やうすえしが、私等わたしらにてのぞんだところ味噌みそこしがおち
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
成程なるほどね、私等わたしらいままでさういふことにやかなかつたが、むす仕事しごとするんだから其麽そんなおほきくなくつたつてかまはないし、四しやくすんもあればまるあたらしいやうにえるんだね
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私等わたしら二人ふたりうちいづれが瘋癲者ふうてんしやだらうか。』と、ドクトルは腹立はらだゝしくなつておもふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
(眼を転じて第二の見慣れぬ旅人を見て)私等わたしら二人は、かく歩きましょう、こうやってじっとしているのが堪えられぬ怖しさを覚える。眤としていると沈黙が息を止めるように覚える。
日没の幻影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうでもなければ、あの暗室へ私等わたしらと一緒にノコノコ降りて行く筈もありません、あの上からはどうせ開きっこは無いと、たかをくくって居たのでしょう。——どうだい、それに相違あるまい
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
あゝ私等わたしら二人くちと唇とをあわした昔
間違まちがひやらなにやら私等わたしらことならねどたゞきやくさまのおほせにはいま車夫しやふ用事ようじがあるあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私等わたしら二人ふたりうちいずれが瘋癲者ふうてんしゃだろうか。』と、ドクトルは腹立はらだたしくなっておもうた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おやなればめるではけれど細工さいくまこと名人めいじんふてもひと御座ござんした、なれども名人めいじんだとて上手じやうづだとて私等わたしらうちのやうにうまれついたはにもなること出來できないので御座ござんせう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)