-
トップ
>
-
矢間
>
-
やざま
ひよいと
飛上るのもあれば、ぐる/\と
歩行き
廻るのもあるし、
胴を
伸ばして
矢間から
衝と
出て、
天守の
棟で
鯱立ちに
成るのも
見える。
窓は
矢間の用をなし、ここには二個の大砲と、八個の
旋条銃が用意されているほかに、なお多くの武器がある。
そして一ノ木戸仁王門から、二ノ木戸の塀、
下ノ堂の
櫓や
矢間などの俄な
砦工事を指さしながら
此の
一階目の
床は、
今過つた
野に、
扉を
建てまはしたと
見るばかり
広かつた。
短い
草も
処々、
矢間に
一ツ
黄色い
月で、
朧の
夜も
同じやう。
イバンスとケートが
矢間からこれを見ると、
鉄砲玉のロックとホーベスのふたりである。
ぐる/\と
急いで
廻つて
取着いて
追つて
上る。と
此の
矢間の
月は
赤かつた。
魔界の
色であらうと
思ふ。が、
猶予ふ
隙もなく
直ちに
三階目を
攀ぢ
上る……
椰子、
檳榔子の生え茂つた山に添つて、城のやうに
築上げた、
煉瓦造がづらりと並んで、
矢間を切つた黒い窓から、
弩の口がづん、と出て、幾つも幾つも
仰向けに、星を
呑まうとして居るのよ……
椰子、
檳榔子の
生え
茂つた
山に
添つて、
城のやうに
築上げた、
煉瓦造がづらりと
並んで、
矢間を
切つた
黒い
窓から、
弩の
口がづん、と
出て、
幾つも
幾つも
仰向けに、
星を
呑まうとして
居るのよ……