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眞白
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ましろ
「
聖母の
手套」、
刺罌粟、
母子草、どんなに
眞白な手よりも、おまへたちの
方が、わたしは
好だ。
滅んだ花よ、むかしの花よ。
お
聞きでないかあのもの
靜かな
筧の
音を。
見る
通りに
雪は
眞白く
山に
積つてゐる。そして
日蔭はあらゆるものの
休止の
姿で
靜かに
寒く
默りかへつてゐる。
山邊の
赤人を、
桃の
花の
霞に
顯はし、それ
百人一首の
三枚めだ……
田子の
浦に
打出でて
見れば
白妙の——ぢやあない、……
田子の
浦ゆ、さ、
打出でて
見れば
眞白にぞ、だと
さしもに
廣きネープルス
灣も
眼界到らぬ
隈はなく、おぼろ/\に
見ゆるイスチヤの
岬には
廻轉燈明臺の
見えつ、
隱れつ、
天に
聳ゆるモリス
山の
頂にはまだ
殘の
雪の
眞白なるに
眞白な
胡粉に
心から
謝して、それでも
踊りの
仲間にや
入らず。
此に、よれ/\と
身を
絞つた、
美人の
眞白な
指が、
胸を
壓へて、ぶる/\と
震へたのである。
其眞白なる
腹部を
逆に
海面に
泛んだ。