-
トップ
>
-
ましろ
髪黒く、色雪の如く、
厳しく正しく
艶に気高き
貴女の、
繕はぬ姿したのが、すらりと入つた。月を
頸に
掛けつと見えたは、
真白な
涼傘であつた。
その
頂上には
古い
昔から、
大理石のやうに
硬くて
真白な
雪が
凍りついてゐて、
壁のやうにそゝり
立つ、そこまで、まだ
誰一人攀ぢ
登つた
者がない。
山邊の
赤人を、
桃の
花の
霞に
顯はし、それ
百人一首の
三枚めだ……
田子の
浦に
打出でて
見れば
白妙の——ぢやあない、……
田子の
浦ゆ、さ、
打出でて
見れば
眞白にぞ、だと
さしもに
廣きネープルス
灣も
眼界到らぬ
隈はなく、おぼろ/\に
見ゆるイスチヤの
岬には
廻轉燈明臺の
見えつ、
隱れつ、
天に
聳ゆるモリス
山の
頂にはまだ
殘の
雪の
眞白なるに