白瓜しろうり)” の例文
若い白瓜しろうりの心を抜き、青紫蘇あおじそを塩でんで詰めて押したのは、印籠漬いんろうづけといって喜ばれましたが、雷干かみなりぼし日向ひなた臭いといって好まれませんかった。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
清ちやんは尋常二年ですが、去年の黒んぼ会には、一番体が白くて、みんなから「白瓜しろうり」といふあだなをもらひました。
黒んぼ会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
何のおたなものの白瓜しろうりがどんな事を仕出しいだしませう、怒るなら怒れでござんすとて小女こをんなに言ひつけてお銚子の支度
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母親は帰りに、八百屋やおやに寄って、茄子なす白瓜しろうりなどを買う。局の前で、清三は母親を先に帰して、荻生さんのへやで十時過ぎまで話して行くことなどもあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
やがてさら/\とわた山風やまかぜや、つきかげうりをどる。踊子をどりこ何々なに/\ぞ。南瓜たうなす冬瓜とうがん青瓢あをふくべ白瓜しろうり淺瓜あさうり眞桑瓜まくはうり
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ええ、ゆふべ、泥棒どろぼう……なん馬鹿ばかだろ……白瓜しろうりぽん反物たんもの三だん……うつかり秘密話ないしよばなしもできやしない」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
別に茄子なすでも人参にんじんでも玉葱たまねぎでも日本葱でも莢隠元さやいんげんでも白瓜しろうりでも胡瓜きゅうりでも西洋牛蒡せいようごぼうでも日本牛蒡のく若いのでも十六ササギでもキャベツでもかぶでも何でもそんな物を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そこにはせて小さくなった白瓜しろうりのような顔が、ひくい電燈の光をうけて、すぐ私のほうを眺めた。病めば病むほど大きくなった瞳孔が澄んでものうげに私のかおにそそがれた。
音楽時計 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
西瓜や真桑瓜まくわうりのたぐいをくらうことを堅く禁じられていたので、大方そのせいでもあるか、成人の後に至っても瓜の匂を好まないため、漬物にしても白瓜しろうりはたべるが、胡瓜きゅうりは口にしない。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
連れている白瓜しろうりみたいな弟子を振顧って
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんのおたなものゝ白瓜しろうりんなこと仕出しいだしませう、をこるならをこれでござんすとて小女こをんなひつけてお銚子ちようし支度したく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
冷奴ひややっこ紫蘇しその実、白瓜しろうりこうもので、わたくし取膳とりぜんの飯をあがると、帯をめ直して
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二番目のいわしが二十銭、三番目の赤茄子と鶏が五十五銭、四番目の牛の尾のシチューが四十五銭、五番目の白瓜しろうりが二十五銭、六番目の豚が五十五銭、七番目のお菓子が三十銭で合計二円七十銭です。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「あんたは白瓜しろうりぽん、それつきり」といひました。お客樣きやくさま
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
夫れで宜いのか、怒りはしないか、やかましくなれば面倒であらうと結城が心づけるを、何のおたなものゝ白瓜しろうりが何んな事を仕出しませう、怒るなら怒れでござんすとて小女に言ひつけてお銚子の支度
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
牛の冷肉を薄くって揚げてもよし、茄子なすを切って水の中へ三十分漬けて布巾ふきんでその水気を拭き取って揚げてもよし、胡瓜きゅうりの水気を拭き取って揚げてもよし、白瓜しろうり湯煮ゆでて水気を切って揚げてもよし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
白瓜しろうりのフエタス 秋 第百九十四 鮎とこうし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)