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生温
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なまぬ
ふりがな文庫
“
生温
(
なまぬ
)” の例文
気のなさそうな
生返事
(
なまへんじ
)
をした叔母は、お金さんが
生温
(
なまぬ
)
るい番茶を形式的に津田の前へ
注
(
つ
)
いで出した時、ちょっと首をあげた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
身動
(
みうごき
)
もせず
熟
(
じつ
)
として兩足を
組
(
くん
)
で
坐
(
すわ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
園
(
その
)
を
吹渡
(
ふきわた
)
る
生温
(
なまぬ
)
くい
風
(
かぜ
)
と、半分
焦
(
こげ
)
た芭蕉の實や
眞黄色
(
まつきいろ
)
に
熟
(
じゆく
)
した
柑橙
(
だい/\
)
の
香
(
かほり
)
にあてられて、
身
(
み
)
も
融
(
とけ
)
ゆくばかりになつて
來
(
き
)
たのである。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其の一口に申せば
生温
(
なまぬ
)
るさに、満ち足りなかった男性の心は、此国の強健な肉体と、少くとも自己を主張し得る女性の「張り」に、甦ったような解放を感じずには居られないのでございます。
C先生への手紙
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
生温
(
なまぬ
)
るき
風
(
かぜ
)
のごと
骨
(
ほね
)
もなき
手
(
て
)
は
動
(
うご
)
く——その
空
(
そら
)
に
鏽銀
(
しやうぎん
)
の
鐘
(
かね
)
はかかれり。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ただ、その石のように握り締めた両手の
拳
(
こぶし
)
の間から、
生温
(
なまぬ
)
るい汗がタラタラと
迸
(
ほとば
)
しり流れるのをハッキリと意識していたものだが、「手に汗を握る」という形容はアンナ状態を指したものかも知れん。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
その藻草があたかも
生温
(
なまぬ
)
るい風に
嬲
(
なぶ
)
られるように、波のうねりで静かにまた永久に細長い茎を前後に
揺
(
うご
)
かした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
辛気くさい静かな雨、かなしいやはらかな……
生温
(
なまぬ
)
るい
計画
(
たくらみ
)
の雨。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そら来たと思いながら、何だと聞いたら、「あまり早くて分からんけれ、もちっと、ゆるゆる
遣
(
や
)
って、おくれんかな、もし」と云った。おくれんかな、もしは
生温
(
なまぬ
)
るい言葉だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
ると、
小六
(
ころく
)
は
火鉢
(
ひばち
)
の
前
(
まへ
)
に
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、
脊表紙
(
せべうし
)
の
反
(
そ
)
り
返
(
かへ
)
るのも
構
(
かま
)
はずに、
手
(
て
)
に
持
(
も
)
つた
本
(
ほん
)
を
上
(
うへ
)
から
翳
(
かざ
)
して
讀
(
よ
)
んでゐた。
鐵瓶
(
てつびん
)
は
傍
(
わき
)
へ
卸
(
おろ
)
したなり
湯
(
ゆ
)
は
生温
(
なまぬ
)
るく
冷
(
さ
)
めてしまつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
家
(
うち
)
へ帰ると、小六は
火鉢
(
ひばち
)
の前に
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、
背表紙
(
せびょうし
)
の
反
(
そ
)
り返るのも構わずに、手に持った本を上から
翳
(
かざ
)
して読んでいた。
鉄瓶
(
てつびん
)
は
傍
(
わき
)
へ
卸
(
おろ
)
したなり、湯は
生温
(
なまぬ
)
るく
冷
(
さ
)
めてしまった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私のこの言葉はぼんやりしているばかりでなく、すこぶる不快に
生温
(
なまぬ
)
るいものでありました。鋭い兄さんの眼から出る
軽侮
(
けいぶ
)
の
一瞥
(
いちべつ
)
と共に葬られなければなりませんでした。兄さんはこう云うのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
温
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生死
生計