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玩味
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がんみ
ふりがな文庫
“
玩味
(
がんみ
)” の例文
この点から申しても我等は古人の句を三読、五読、百読、千読してこれを習熟し、
玩味
(
がんみ
)
する必要があるのであります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
初五が短いためにそのあとでちょっとした休止の気味があって内省と
玩味
(
がんみ
)
の余裕を与え、次に来るものへの予想を発酵させるだけの
猶予
(
ゆうよ
)
を可能にする。
俳句の精神
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もちろん、武蔵は、長恨歌全文を、愛誦もし、白楽天のあの艶麗にして悠遠な構想と宇宙観の
示唆
(
しさ
)
に富んだ一章一章をふかく
玩味
(
がんみ
)
もしていたであろう。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おれは酔っ払っちゃいないんだ、ただ『
玩味
(
がんみ
)
してる』だけだ。これはおまえのラキーチンの豚野郎の言いぐさだよ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
たとえば谷崎潤一郎氏が、氏のぬきさしならぬ文章精神を『文章読本』として世に問うたとき、現役文壇人の誰が真面目に氏の説を
玩味
(
がんみ
)
したであろうか。
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
ゴンクウルはその探索
蒐集
(
しゅうしゅう
)
せる資料を鑑賞し
玩味
(
がんみ
)
しこれによりてひたすら芸術的感覚の美に触れん事を求めたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕は青木君の
為
(
ため
)
にばかりでなく、貴女自身のために、僕の云ったことをよく
玩味
(
がんみ
)
していたゞきたいと思うのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし老人は、読み終った後、なおよく
玩味
(
がんみ
)
するためにも一度読み直した。それが済むと、メルキオルも老人もともに、まったくりっぱな出来だと断言した。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
なるほど、前山さんは茶道に縁あって以来というもの中国陶磁に朝鮮陶器に日本ものに、ありとあらゆる名器を幾度となく、繰り返して
玩味
(
がんみ
)
せられたであろう。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
あのときの綾之助の語り口は堅実であったと、耳の底にのこる記憶を、
玩味
(
がんみ
)
するように思出していた。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
英雄の
逞
(
たくま
)
しさがあるが、
玩味
(
がんみ
)
し来って、なんの
残糟
(
ざんそう
)
も留めず、さながら
寒潭
(
かんたん
)
を渡る雁、竹林を過ぐる風の如く、
至玄
(
しげん
)
、至妙の境地に徹しているのは驚くべきである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それでも
瑞巌寺
(
ずいがんじ
)
の建築を考証したり、例の田山白雲が憧れている観瀾亭の壁画なんぞを
玩味
(
がんみ
)
したりするだけの素養があればだが、それも七兵衛には望むのが無理です。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
名門豪戸競うて之を
玩味
(
がんみ
)
し給うとは雖も、その趣旨たるや、みだりに重宝珍器を羅列して豪奢を誇るの
顰
(
ひん
)
に
傚
(
なら
)
わず、閑雅の草庵に席を設けて巧みに新古精粗の器物を交置し
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
平民社会の
勃起
(
ぼっき
)
とは、つねに一致連帯の運動をなすものにして、このなかには実にいうべからざる妙理の存するものあるは社会の大勢に通じたるの士の実に
玩味
(
がんみ
)
するところならん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「それは違うさ。文学を
玩味
(
がんみ
)
する能力のあるものは文章を書く書かないに拘らず皆文学者さ。そうして文章を書いて食っているものは文学を玩味する能力の有る無しに論なく皆文士さ」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これ即ち時勢の要求であり、国家の希望であることを深く
玩味
(
がんみ
)
してもらいたい。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
すると男は、相手の苦悩を
玩味
(
がんみ
)
しながら、ゆっくりゆっくり答えた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
マザーの恐ろしい話を熟読
玩味
(
がんみ
)
することだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
もってその妙旨を
玩味
(
がんみ
)
せられんことを望みます。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そうでなくても一つのものをよく
玩味
(
がんみ
)
してその
旨
(
うま
)
さが分かれば他のものへの食慾はおのずから誘発されるのである。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一は
能
(
よ
)
く他国の文化を
咀嚼
(
そしゃく
)
玩味
(
がんみ
)
して自己薬籠中の物となしたるに反して、一は
徒
(
いたずら
)
に新奇を迎うるにのみ急しく全く己れを
省
(
かえりみ
)
る
遑
(
いとま
)
なきことである。これそも何が故に然るや。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
深く
玩味
(
がんみ
)
してみると、そこに人間武蔵のおもしろさが
津々
(
しんしん
)
とつつまれているような気がする。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それらの傑作を
玩味
(
がんみ
)
すべきものであるが、単に一般家庭人が、モーツァルトの美しさ、愛らしさ、
燦然
(
さんぜん
)
たる天才の
片鱗
(
へんりん
)
を知らんとするためには、子守唄の一曲、トルコ行進曲の一曲
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
いや、おことば
玩味
(
がんみ
)
いたしますでございます。そこで、君、むだは抜きにして、僕は初め、この土地におけるすべての偏見を根絶するために、いたるところへ電波を放とうかと思ったんだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
独り封建社会の継児たる智勇弁力の徒が
指点
(
してん
)
して待ちたる動乱の機は来れり。
壠
(
ろう
)
上に太息せる陳勝、
爼辺
(
そへん
)
に大語せる陳平、
窮巷
(
きゅうこう
)
に黙測する
范増
(
はんぞう
)
、
圯上
(
いじょう
)
の書を
玩味
(
がんみ
)
する子房、彼らが時は既に来れり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
という詩句を
玩味
(
がんみ
)
してみると、いかに最新の学説に含まれた偉大な考えがその深い根底においてこの言葉の内容と接近しているかに驚かざるを得ない。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
けれど村上義清は、わが邸にもどってからも、
終夜
(
よもすがら
)
謙信のことばを想い、その心事を
玩味
(
がんみ
)
してみた。そして何かしらここ十年来は忘れていたような快い安らかな眠りにひきこまれた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余は今日となりては江戸演劇を基礎としてこれが改造を企てんよりはむしろそは従来のままなる芝居として
観
(
み
)
ん事を欲せり。演劇改革の事業とその鑑賞
玩味
(
がんみ
)
の
興
(
きょう
)
とは
自
(
おのずか
)
ら別問題たるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これは一見誇大な言明のようであるが実は必ずしも過言でないことはこの言葉の意味を深く
玩味
(
がんみ
)
される読者にはおのずから明らかであろうと思われる。
俳句の精神
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
有名な彼の遺文「
独行道
(
どっこうどう
)
」の句々は、今日でも、
愛誦
(
あいしょう
)
に足るものである。もとより彼の時代と現代とのひらきはあるが、
玩味
(
がんみ
)
すれば、人間本能の今も変らない素朴な良心にふれてくることは否めない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし途上の一輪の草花を採って子細にその花冠の中に隠された生命の驚異を
玩味
(
がんみ
)
するだけの心の余裕があったら
沓掛より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
少なくもアインシュタイン以前の力学や電気学における基礎的概念の発展沿革の骨子を歴史的に追跡し
玩味
(
がんみ
)
した後にまず特別相対性理論に耳を傾けるならば
相対性原理側面観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
こういう本格的な研究仕事を手伝わされたことがどんなに仕合せであったかということを、本当に十分に
估価
(
こか
)
し
玩味
(
がんみ
)
するためにはその後の三十年の体験が必要であったのである。
科学に志す人へ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そうして付け合わせの
玩味
(
がんみ
)
に際してしいて普遍的論理的につじつまを合わせようとするような徒労を避け、そのかわりに正真な連句進行の旋律を認識し享楽することができはしないかと思うのである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“玩味”の意味
《名詞》
食物をよく味わうこと。
物事の意味を深く味わうこと。
(出典:Wiktionary)
玩
常用漢字
中学
部首:⽟
8画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“玩”で始まる語句
玩具
玩弄
玩
玩弄物
玩具屋
玩弄品
玩具箱
玩物
玩器
玩具店