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玉章
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たまずさ
ふりがな文庫
“
玉章
(
たまずさ
)” の例文
が、重科を赦免せられない俊寛には、一通の
玉章
(
たまずさ
)
をさえ受くることが許されていなかった。俊寛は、砂を噛み、土を掻きむしりながら、泣いた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その
玉章
(
たまずさ
)
の中には、恐ろしい毒薬が
塗籠
(
ぬりこ
)
んででもあったように、
真蒼
(
まっさお
)
になって、白襟にあわれ口紅の色も薄れて、
頤
(
おとがい
)
深く差入れた、
俤
(
おもかげ
)
を
屹
(
きっ
)
と視て
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここは木曽家の大奥なのであって、無数の部屋は
局
(
つぼね
)
なのであった。そうしてご殿女中は
玉章
(
たまずさ
)
なのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのかわりに、このとおり幸助どんの心をこめた
玉章
(
たまずさ
)
がおみやげだ。二度の奥勤めもできますまいから、しかるべき法を講じてね、早く長火ばちの向こうにおすわりなせえよ。
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
夏の
玉章
(
たまずさ
)
一通、年の暮れの玉章一通、確かに届きぬ。われこれに答えざりしは今の時のついに来たりて、われ進みて
文
(
ふみ
)
まいらすべきことあるをかねて
期
(
ご
)
しいたればにて深き
故
(
ゆえ
)
あるにあらず。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
萩
(
はぎ
)
、
桔梗
(
ききょう
)
、なかに
玉章
(
たまずさ
)
しのばせて
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
去る七月十五日香港よりお仕出しのおなつかしき
玉章
(
たまずさ
)
とる手おそしとくりかえしくりかえしくりかえし拝し上げ参らせ候 さ候えばはげしき暑さの
御
(
おん
)
さわりもあらせられず何より何より
御嬉
(
おんうれ
)
しゅう存じ上げ参らせ候 この
許
(
もと
)
御母上様御病気もこの節は
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
一時
(
ひとしきり
)
、芸者の数が有余ったため、
隣家
(
となり
)
の平屋を出城にして、
桔梗
(
ききょう
)
、
刈萱
(
かるかや
)
、
女郎花
(
おみなえし
)
、垣の
結目
(
ゆいめ
)
も
玉章
(
たまずさ
)
で、
乱杙
(
らんぐい
)
逆茂木
(
さかもぎ
)
取廻し、本城の
欄
(
てすり
)
の
青簾
(
あおすだれ
)
は、枝葉の繁る二階を見せたが
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると鳰鳥はどうしたものか、気味の悪い
微笑
(
ほほえみ
)
を浮かべたと思うと、何やら
玉章
(
たまずさ
)
へ囁いた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これが世間にほまれのたけえ水茎の跡うるわしき
玉章
(
たまずさ
)
っていうやつなんだ。名は体を表わし、字は色を現わすといってね、さぞおくやしいでござんしょうが、この主はべっぴんですよ
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その陽だまりは、山霊に心あって、一封のもみじの
音信
(
たより
)
を投げた、
玉章
(
たまずさ
)
のように見えた。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「若いお方でございます」侍女の
玉章
(
たまずさ
)
は笑いながら、「大変な美男でございます」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
襖
(
ふすま
)
が
開
(
あ
)
いた、と思うと、羽織なしの
引掛帯
(
ひっかけおび
)
、結び目が
摺
(
ず
)
って、横になって、くつろいだ
衣紋
(
えもん
)
の、胸から、柔かにふっくりと高い、
真白
(
まっしろ
)
な線を、読みかけた
玉章
(
たまずさ
)
で斜めに仕切って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勘当ではない自分で
追出
(
おんで
)
て、やがて、おかち町辺に、もぐって、かつて女たちの、
玉章
(
たまずさ
)
を、きみは今……などと
認
(
したた
)
めた覚えから、一時、代書人をしていた。が、くらしに足りない。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふとどこともなく
立顕
(
たちあらわ
)
れた、世にも
凄
(
すご
)
いまで美しい
婦
(
おんな
)
の手から、一通
玉章
(
たまずさ
)
を秘めた
文箱
(
ふばこ
)
を
託
(
ことずか
)
って来て、ここなる池で、かつて暗示された、別な
美人
(
たおやめ
)
が受取りに出たような気がしてならぬ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただその
玉章
(
たまずさ
)
は、お誓の
内証
(
ないしょ
)
の針箱にいまも秘めてあるらしい。……
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嘴
(
はし
)
に小さな
芋虫
(
いもむし
)
を一つ
銜
(
くわ
)
え、あっち向いて、こっち向いて、ひょいひょいと見せびらかすと、籠の中のは、恋人から来た
玉章
(
たまずさ
)
ほどに欲しがって
駈上
(
かけあが
)
り
飛上
(
とびあが
)
って取ろうとすると、ひょいと
面
(
かお
)
を横にして
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両手にひろげし
玉章
(
たまずさ
)
を
颯
(
さっ
)
と繰落して、
地摺
(
ちずり
)
に取る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
玉
常用漢字
小1
部首:⽟
5画
章
常用漢字
小3
部首:⽴
11画
“玉”で始まる語句
玉
玉蜀黍
玉葱
玉鬘
玉璽
玉菜
玉藻
玉簾
玉垣
玉座