トップ
>
狂犬
>
やまいぬ
ふりがな文庫
“
狂犬
(
やまいぬ
)” の例文
「承知するもしないもございません。少し
厭
(
いや
)
な顔をしても
喧嘩
(
けんか
)
を吹っかけられます。あの六郎さんという人は
狂犬
(
やまいぬ
)
のような人間で——」
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いったい、この村のやつらが悪い、あんな
性質
(
たち
)
の悪い
狂犬
(
やまいぬ
)
を放し飼いにしておくのがよろしくねえ、叩き殺してしまやがりゃいいんだ」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余り見かねたから、
背後
(
うしろ
)
向きになっていたがね、出しなに見ると、
狂犬
(
やまいぬ
)
はそのまま膝枕で、例の鼾で、若い手代はどこへ立ったか居なかった。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おのれ
人間
(
ひと
)
の子を
傷
(
きずつ
)
けながら、まだ飽きたらで
猛
(
たけ
)
り狂ふか。憎き
狂犬
(
やまいぬ
)
よ、今に目に物見せんず」ト、
曳
(
ひき
)
立て曳立て裏手なる、
槐
(
えんじゅ
)
の幹に
繋
(
つな
)
ぎけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
……おお静かになったが……ここはもう筑波の社領内だが、
狂犬
(
やまいぬ
)
め、そんなことも考えて居れなくなったと見える。
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
▼ もっと見る
ほ、ほ、ほ、まあ、何と、江戸名うての、広海屋、長崎屋——二軒の旦那衆が、
狂犬
(
やまいぬ
)
のようなつかみあい、食いつき合い——おもしろいのう! いさましいのう! ほ、ほ、ほ、ほ!
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「承知するもしないも御座いません。少し厭な顏をしても喧嘩を吹つかけられます。あの六郎さんといふ人は
狂犬
(
やまいぬ
)
のやうな人間で——」
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや、黒服の
狂犬
(
やまいぬ
)
は、まだ
妾
(
めかけ
)
の膝枕で、ふんぞり返って
高鼾
(
たかいびき
)
。それさえ見てはいられないのに、……その手代に違いない。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……おお静かになったが……此処はもう筑波の社領内だが、
狂犬
(
やまいぬ
)
め、そんなことも考えておれなくなったと見える。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
ムク犬は決して
狂犬
(
やまいぬ
)
になったわけではない。主人の危急を救わんとして狂犬にさせられてしまったのでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
狂犬
(
やまいぬ
)
のようにいやがられている連中、それを、何とまあ、二人一度に征討して、外へほッぽり出してしまったのだから、おまはんの、底ぢからは、程が知れないね——ところで、法印さん——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
手前
(
てめえ
)
の顔は、お内儀へ喰い付きそうだったぜ、——高力左近様より、手近にもっと怖い
狂犬
(
やまいぬ
)
がいると言ってやりたかったが、
止
(
よ
)
したよ」
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「うむ、何だよ、その娘の跡を
跟
(
つ
)
けまわしてな、から
厭
(
いや
)
がられ切ってる癖に、
狂犬
(
やまいぬ
)
のような奴だ、来たかい! 弱ったな、どうも、
汝
(
うぬ
)
一人で。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仏頂寺弥助が冷笑して過ぎて行くところへ、いったん、沈んだ
狂犬
(
やまいぬ
)
が浮き上って、岸の方へ泳いで来るから
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それも
狂犬
(
やまいぬ
)
だ。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
から段々落ちに、酒も人間も悪くなって、この節じゃ、まるで
狂犬
(
やまいぬ
)
のようですから、何をどう食ッてかかろうも知れませんや。
何
(
なん
)
しろ火の玉なんでね。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どこの畜生だか知らねえが、人を
脅
(
おどか
)
しやがる畜生だ、この近所ではついぞ見かけたことのねえ畜生だが、いやはや、馬鹿と
狂犬
(
やまいぬ
)
ほど怖いものはないと太閤様が申しました」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔のお静の
朋輩
(
ほうばい
)
お町、それは、無抵抗で優しいお静にだけは
兜
(
かぶと
)
を脱いでおりますが、外の女が平次に指でも差そうとしたら、
狂犬
(
やまいぬ
)
のように
喰
(
く
)
い付いてやろうという恐ろしい女です。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それも
狂犬
(
やまいぬ
)
だ。
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
罪滅
(
つみほろぼし
)
のためだと思って母親の持った亭主は——間黒源兵衛——
渾名
(
あだな
)
を
狂犬
(
やまいぬ
)
という、花川戸町の裏長屋に住む人入稼業、主に米屋の
日傭取
(
ひようとり
)
を世話する
親仁
(
おやじ
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実は今そこで、おそろしく強い
狂犬
(
やまいぬ
)
に
出逢
(
であ
)
ったものだから、逃げ場を失って、こんな始末さ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔のお靜の
朋輩
(
ほうばい
)
お町、それは、無抵抗で優しいお靜にだけは
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
いで居りますが、外の女が平次に指でも差さうとしたら、
狂犬
(
やまいぬ
)
のやうに喰ひ付いてやらうといふ恐ろしい女です。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一
日
(
じつ
)
の安き
暇
(
いとま
)
もないので、お絹は身も心も疲れ果てて、その一月ばかり前から煩い出し、床に就いて足腰の自由が利かなくなると、夫
狂犬
(
やまいぬ
)
源兵衛は屋外にこれを追出した。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しようじゃないか、あん畜生はホントに
狂犬
(
やまいぬ
)
になったんで通る人の見さかいもなく、ああして噛みつくんだ、うっかり傍へ寄ると危ねえ、早くお役所へ沙汰をしようじゃないか
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
暗がりを
啣
(
くわ
)
え
楊枝
(
ようじ
)
、月夜には懐手で、
呑気
(
のんき
)
に
歩行
(
ある
)
いてると、思いがけねえ
狂犬
(
やまいぬ
)
めが
噛附
(
かみつ
)
くような
塩梅
(
あんばい
)
に、
突然
(
いきなり
)
、突当る奴がある、引摺倒す奴がある、拳固でくらわす奴がある
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
犬に
逐
(
お
)
われたな、
狂犬
(
やまいぬ
)
だろう、大きな犬だ、あれに逐いつめられて木の上へ登って、そこから助けを呼んでいるというのは
笑止
(
しょうし
)
なことだ、その声を聞けば子供でもないようだが
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「和尚様、
狂犬
(
やまいぬ
)
が飛び込みましたぜ、西の方から牢破りをして逃げた狂犬ですぜ、それが今、このお寺の中へ逃げ込んでしまいました、だからこうして追い飛ばしているのでございます」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……はじめは
蜘蛛
(
くも
)
の巣かと思ったよ、とそうおいいなさるものですから、
狂犬
(
やまいぬ
)
でなくて、お仕合せ、蜘蛛ぐらい、幽霊も化ものも、まあ、大袈裟なことを、とおかしいようでございましたが
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この品位ある
若殿原
(
わかとのばら
)
が、寺男の米友風情に、こうまで罵られて言句がつげないのか、また、日頃、親切で正直な男が、まるで
狂犬
(
やまいぬ
)
みたように、どうして一見の人にガミガミ噛みつくのだか
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それからの
狂犬
(
やまいぬ
)
が、
条理
(
すじ
)
違いの難題といっちゃ、聞いていられなかったぜ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
狂犬
(
やまいぬ
)
が、あっちへ行った、
人食
(
ひとくら
)
い
犬
(
いぬ
)
が、あの若い侍に食いついてらあ」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「お前さん、
狂犬
(
やまいぬ
)
に
吠
(
ほ
)
えられたとお言いなすったね」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
狂犬
(
やまいぬ
)
だろう、
打
(
ぶ
)
ち殺してくれべえぞ!」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ええ、
狂犬
(
やまいぬ
)
でございます」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こん畜生、
狂犬
(
やまいぬ
)
だな」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ソレ
狂犬
(
やまいぬ
)
だ!」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“狂犬”の意味
《名詞》
狂犬病に罹患している犬。
(context、figuratively)凶暴な者。
(出典:Wiktionary)
狂
常用漢字
中学
部首:⽝
7画
犬
常用漢字
小1
部首:⽝
4画
“狂”で始まる語句
狂
狂人
狂気
狂言
狂奔
狂氣
狂瀾
狂喜
狂躁
狂歌