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燗鍋
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かんなべ
ふりがな文庫
“
燗鍋
(
かんなべ
)” の例文
十太夫がやり返そうとすると、おわかが小女たちと共に、
角樽
(
つのだる
)
や
片口
(
かたくち
)
や、
燗鍋
(
かんなべ
)
をかけた火鉢などを運んで来、賑やかに燗の支度を始めた。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
有働良夫氏の話に肥後の菊池では村民の不都合な者を排斥することを「
燗鍋
(
かんなべ
)
かるわせる」という。すなわち炊具一つ負わせて居村を追い出すことだ。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
女は何か云って会釈しながら
艫
(
とも
)
の方へ往ったが、すぐ一つの膳へ魚の煮たのを盛った皿や、
飯
(
めし
)
のつけてある茶碗などを乗せて
燗鍋
(
かんなべ
)
といっしょに持って来た。
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
又「あの
雪崩口
(
なだれぐち
)
でな、何もお客様に愛想がねえから、
温
(
あった
)
まる様に是れを上げたいものだ、己がこしらえるからお前味噌で溜りを
拵
(
こしら
)
えて、
燗鍋
(
かんなべ
)
の支度をして呉んな」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
小
(
ちひ
)
さな
時分
(
じぶん
)
から
侮
(
あなど
)
られて
能
(
よ
)
く
泣
(
な
)
かされた。
彼
(
かれ
)
は
恐
(
おそ
)
ろしい
泣蟲
(
なきむし
)
であつた。
彼
(
かれ
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
燗鍋
(
かんなべ
)
といふ
綽名
(
あだな
)
を
附
(
つ
)
けられた。
彼
(
かれ
)
は
心
(
こゝろ
)
に
幾
(
いく
)
ら
其
(
そ
)
れを
嫌
(
きら
)
つたか
知
(
し
)
れない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
燗鍋
(
かんなべ
)
、重箱、
塩辛壺
(
しおからつぼ
)
など、それぞれ自分の周囲の器を勝手口に持ち出して女房に手渡し、れいの小判が主人の膝もとに散らばって在るのを、それも仕舞いなされ、と客にすすめられて
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
丸行燈
(
まるあんどん
)
が一つ、赤あかと炭火のおこっている
手焙
(
てあぶ
)
りが二つ、さくらの脇に
燗鍋
(
かんなべ
)
をのせた火鉢があり、それには
燗徳利
(
かんどくり
)
が二本はいっていた。
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
燗鍋
(
かんなべ
)
を
囲炉裡
(
ゐろり
)
にかけて玉子を二ツ三ツポン/\と中に入れましたが
早速
(
さつそく
)
玉子酒
(
たまござけ
)
が
出来
(
でき
)
ました。女
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでは
燗鍋
(
かんなべ
)
や
盃
(
さかずき
)
などがあるかと思って行燈の下を見た。燗鍋も盃も皿もなにもなかった。彼は手にしていた
脇差
(
わきざし
)
を行燈の
燈
(
ひ
)
へ
翳
(
かざ
)
して見た。刀にはすこし異状がないでもなかった。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その八帖にはもう膳が出てい、火のよく
熾
(
おこ
)
った火鉢には
燗鍋
(
かんなべ
)
が湯気を立てていたし、派手な色の座蒲団が二枚出してあった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
婢は
燗鍋
(
かんなべ
)
を
執
(
と
)
って
酌
(
しゃく
)
をした。平三郎はそれをぐっと一口に飲んだ。酒は苦かった。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
飲
(
のみ
)
やアしねえ、
今日
(
けふ
)
は
治衛門
(
ぢゑもん
)
さんのところへ
行
(
い
)
つても
酒
(
さけ
)
は
飲
(
の
)
まなかつた、
家
(
うち
)
に買つてあるのを知つてゐるから。女「それでも
酒
(
さけ
)
くさいよ。伝「
燗鍋
(
かんなべ
)
に
玉子酒
(
たまござけ
)
があつたからそれを
飲
(
の
)
んだ。 ...
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
娘たちは互いにわけもなくはしゃぎながら、甲斐の前に古びた
毛氈
(
もうせん
)
をひろげ、重詰を並べたり、手籠から
燗鍋
(
かんなべ
)
や
盃
(
さかずき
)
や
箸
(
はし
)
などを取出して、手まめに酒の支度をした。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
婢は右の手に
燗鍋
(
かんなべ
)
と
盃
(
さかずき
)
を持ち、左の手に
肴
(
さかな
)
を盛った皿を持っていた。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
おみやは
膳拵
(
ぜんごしら
)
えをし、
燗鍋
(
かんなべ
)
に酒を注いで火桶にかけながら、「それからどうして」とあとを訊いた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
父親は女にあいそを云い云い
燗鍋
(
かんなべ
)
の酒を、
杯
(
さかずき
)
へ
注
(
つ
)
いで飲んだ。
参宮がえり
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
火鉢に
燗鍋
(
かんなべ
)
、徳利に
角樽
(
つのだる
)
、それから
盃
(
さかずき
)
だけのせた
膳
(
ぜん
)
。それらを運んでいるうちに源次郎が来た。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あんなことを」おみのは火鉢の脇に坐り、掛けてある
燗鍋
(
かんなべ
)
に触ってみながら、したたるように
嬌
(
なまめ
)
かしいながし眼をくれた、「——今夜は泊るつもりでって、手紙に書いてあげたでしょう」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やがておくみが、
燗鍋
(
かんなべ
)
と銚子を持って来た。銚子を膳の脇に置き、こちらの火鉢に燗鍋を掛けてから、甲斐のほうを見て、そんなところにいて寒くはないか、と訊いた。気持がしずまったのだろう。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
燗
漢検1級
部首:⽕
16画
鍋
常用漢字
中学
部首:⾦
17画
“燗”で始まる語句
燗
燗徳利
燗番
燗酒
燗瓶
燗銅壺
燗冷
燗場
燗部屋