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烏帽子
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ゑぼし
ふりがな文庫
“
烏帽子
(
ゑぼし
)” の例文
其耳が
宛
(
あて
)
に成らないサ。君の
父上
(
おとつ
)
さんは
西乃入
(
にしのいり
)
の牧場に居るんだらう。あの
烏帽子
(
ゑぼし
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
に居るんだらう。それ、見給へ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
程なく多くの足音聞ゆる中に、
沓音
(
くつおと
)
高く
響
(
ひび
)
きて、
烏帽子
(
ゑぼし
)
七七
直衣
(
なほし
)
めしたる貴人、堂に上り給へば、
従者
(
みとも
)
の
武士
(
もののべ
)
四五人ばかり
右左
(
みぎひだり
)
に座をまうく。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
骨組の
逞
(
たくま
)
しい大男で、頭に
烏帽子
(
ゑぼし
)
を戴き、身に
直垂
(
ひたゝれ
)
を著、
奴袴
(
ぬばかま
)
を
穿
(
は
)
いて、
太刀
(
たち
)
を
弔
(
つ
)
つてゐる。能呂は隊の行進を停めて、其男を呼び寄せさせた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、余程以前から、同じやうな色の
褪
(
さ
)
めた
水干
(
すゐかん
)
に、同じやうな
萎々
(
なえなえ
)
した
烏帽子
(
ゑぼし
)
をかけて、同じやうな役目を、飽きずに、毎日、繰返してゐる事だけは、確である。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
(これを聽きて春彦は控へる。楓は起つて蒲簾をまけば、伊豆の夜叉王、五十餘歳、
烏帽子
(
ゑぼし
)
、筒袖、
小袴
(
こばかま
)
にて、
鑿
(
のみ
)
と
槌
(
つち
)
とを持ち、木彫の假面を打つてゐる。膝のあたりには木の屑など取散したり。)
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
腰簑に
風折
(
かざをれ
)
烏帽子
(
ゑぼし
)
綱さばく鵜匠は夏のものにぞありける
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
折釘
(
をれくぎ
)
に
烏帽子
(
ゑぼし
)
掛けたり春の宿
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
烏帽子
(
ゑぼし
)
着
(
き
)
ながら水くゞるとは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
まな板
烏帽子
(
ゑぼし
)
ゆがめつつ
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たしかに其は父の声で——
皺枯
(
しやが
)
れた中にも威厳のある父の声で、あの深い
烏帽子
(
ゑぼし
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
から、遠く
斯
(
こ
)
の飯山に居る丑松を呼ぶやうに聞えた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
桜の
釣板
(
つりいた
)
、
張子
(
はりこ
)
の鐘、それからアセチレン
瓦斯
(
ガス
)
の神経質な光。お前は
金紙
(
きんがみ
)
の
烏帽子
(
ゑぼし
)
をかぶつて、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
の振袖をひきずりながら、恐るべく皮肉な
白拍子
(
しらびやうし
)
花子の役を勤めてゐる。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
素襖
(
すあを
)
の
柿
(
かき
)
のへたながら、
大刀
(
たち
)
の切字や
手爾遠波
(
てにをは
)
を、正して点をかけ
烏帽子
(
ゑぼし
)
、悪く
謗
(
そし
)
らば片つはし、棒を
背負
(
しよ
)
つた挙句の果、此世の名残執筆の荒事、筆のそつ首引つこ抜き、
硯
(
すゞり
)
の海へはふり込むと
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
丑松は唯出掛けさへすればよかつた。此処から
烏帽子
(
ゑぼし
)
ヶ
獄
(
だけ
)
の麓まで二十町あまり。其間、田沢の峠なぞを越して、寂しい山道を辿らなければならない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
泰平
(
たいへい
)
の時代にふさはしい、優美なきらめき
烏帽子
(
ゑぼし
)
の下には、
下
(
しも
)
ぶくれの顔がこちらを見てゐる。そのふつくりと肥つた頬に、鮮かな赤みがさしてゐるのは、何も
臙脂
(
えんじ
)
をぼかしたのではない。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平中はやや
慌
(
あわ
)
てたやうに、
烏帽子
(
ゑぼし
)
の頭を後へ向けた。後には
何時
(
いつ
)
か
童
(
わらべ
)
が一人、ぢつと伏し眼になりながら、一通の
文
(
ふみ
)
をさし出してゐる。何でもこれは一心に、笑ふのをこらへてゐたものらしい。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“烏帽子”の意味
《名詞》
烏帽子 (えぼし)
日本の伝統的な被り物の一つで、元服した男子が被るもの。材質は布帛や漆塗りの紙などで、現代においては神主などが用いる。
(出典:Wiktionary)
“烏帽子”の解説
烏帽子(えぼし)は、平安時代から現代にかけて和装での礼服着装の際に成人男性が被った帽子のこと。
(出典:Wikipedia)
烏
漢検準1級
部首:⽕
10画
帽
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“烏帽子”で始まる語句
烏帽子岩
烏帽子折
烏帽子子
烏帽子親
烏帽子岳
烏帽子師
烏帽子籠
烏帽子山麓
烏帽子額
烏帽子打