清明せいめい)” の例文
一太陽年を太陽の黄経こうけいに従って二十四等分し、その各等分点を、立春、雨水、啓蟄けいちつ、春分、清明せいめい……という風に名づけたのである。
立春の卵 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
みんの末の話である。中州ちゅうしゅう焦鼎しょうていという書生があって、友達といっしょにべん上流かわかみへ往ったが、そのうちに清明せいめいの季節となった。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
東金とうがねの富人河野克堂、字子貞の家に滞留して清明せいめいの節をもここに過したが、夏の初には家に還っていて、星巌と共に不忍池の分香亭に詩筵しえんを催した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
橋場稲扱はしばいなこきあたりでも、正月は門松の代りに、柳の木を立てております。昔清明せいめい様という偉い易者が稲扱に来ていて、門松で目を突いて大きに難儀をした。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
如何いくよめいびりの胡麻白ごましろばあさんでも此時このときだけはのんびりして幾干いくら善心ぜんしんちかへるだらうとおもはれる。なつし、清明せいめい季節きせつ高地テーブルランド旦道たんだうはしときなどさらし。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
夜の暁方あけがたなどに意識の未だ清明せいめいにならぬ状態で、父の死は夢か何かではなからうかなどと思つたこともある。しかし目の覚めて居るときには、いろいろと父の事を追慕した。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
のち清明せいめいせいをかえて、阿倍あべ晴明せいめいといった名高なだかうらないの名人めいじんはこの童子どうじのことです。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
春は、清明せいめいの後、秋は重陽ちようやうの後、順風を得て渡航するのを常としたが、朝鮮や遼東に向ふ者は対馬から、直隷、浙江せつかう、山東に向ふ者は五島から、福建、広東カントンに渡るものは薩摩から出発した。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
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妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
この夜、そら清明せいめい——
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天子てんしさまはたいそう阿倍あべ童子どうじ手柄てがらをおほめになって、ちょうど三がつ清明せいめい季節きせつなので、名前なまえ阿倍あべ清明せいめいとおつけになり、五くらいさずけて、陰陽頭おんみょうのかみというやくにおとりたてになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さいは長安の永楽里えいらくりという処に住んでいた。博陵はくりょうの生れで渭南いなんに別荘を持っていた。貞元年中のこと、清明せいめいの時分、渭南の別荘へ帰って往ったが、ある日、昭応しょうおうという処まで往くと陽が暮れてしまった。
崔書生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは清明せいめいの節に当る日のことであった。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)