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涸渇
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こかつ
ふりがな文庫
“
涸渇
(
こかつ
)” の例文
さしもの幕府の
庫
(
くら
)
の金塊も、放漫な経理と、将軍綱吉や、その生母
桂昌院
(
けいしょういん
)
の湯水のごとき浪費とで、近年は
涸渇
(
こかつ
)
に
瀕
(
ひん
)
してきたのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
才能の
涸渇
(
こかつ
)
だろうか? 肉体の衰弱による自信の減退だろうか?
喘
(
あえ
)
ぎながら、彼は、殆ど習慣の力だけで、とぼとぼと稿を続けて行った
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そして、悲しみや弱さや孤独のために、数年来腐食され
涸渇
(
こかつ
)
されて死滅に
委
(
ゆだ
)
ねられてる人々の心を、またよみがえらせていった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
シューベルトは
歌劇
(
オペラ
)
、
交響曲
(
シンフォニー
)
、
弥撒
(
ミサ
)
、室内楽、
歌曲
(
リード
)
、その他あらゆる形式の作曲をし、かつてその天才の泉の
涸渇
(
こかつ
)
する気色も見せなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
クルック・タグの
山麓
(
さんろく
)
には、海面下千
呎
(
フィート
)
の深地がある。かつての
鹹湖
(
かんこ
)
は今は大部分
涸渇
(
こかつ
)
して、塩床の
峻
(
けわ
)
しい
砂礫地
(
されきち
)
である。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
古い文化の
涸渇
(
こかつ
)
と腐敗を見透し、自身の生存のためにも新しい生活と文化との建設の必要をますます自身の問題として感じるようになって来ている。
今日の文化の諸問題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それならば情涙の
涸渇
(
こかつ
)
したと思っていたこの薄雲太夫の後身にもやっぱり人並の思いやりはあるのだ。ただ私に対して同情を
懐
(
いだ
)
かないばかりなのだ。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ドリスが
端倪
(
たんげい
)
すべからず、
涸渇
(
こかつ
)
することのない生活の喜びを持っているのが、こんな時にも発揮せられる。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
活動
(
かつどう
)
に
先
(
さき
)
んじて
池水
(
ちすい
)
涸渇
(
こかつ
)
するのが
通常
(
つうじよう
)
であるけれども、
突然
(
とつぜん
)
爆發
(
ばくはつ
)
して
池水
(
ちすい
)
を
氾濫
(
はんらん
)
せしめたこともある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
遊ぶに軍費というやつが
涸渇
(
こかつ
)
しているから、遊びらしい遊びは出来ないが、今度のはれっきとした兵糧方がついている、なんと面白かりそうではないか——行って落着く住居までが
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それすら一、二句を得れば即ち思想
涸渇
(
こかつ
)
して
復
(
また
)
一字を吐く能はず。あるいは奉納の
行燈
(
あんどん
)
に立ち寄りて俗句に感ぜし事もあり、あるいは
月並
(
つきなみ
)
の巻を見て宗匠輩の選評を信仰せし事もあり。
俳句の初歩
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
垣の上の女もとうとう思想が
涸渇
(
こかつ
)
した。察するに、彼は思想の涸渇を感ずると共に失望の念を
作
(
な
)
すことを禁じ得なかったであろう。彼は経験上こんな雄弁を
弄
(
ろう
)
する度に、誰か相手になってくれる。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
涸渇
(
こかつ
)
してしまったのであろうか? 私は他人の印象から、どうかするとその人の持ってる生命力とか
霊魂
(
れいこん
)
とかいったものの
輪郭
(
りんかく
)
を、私の気持の上に描くことができるような気のされる場合があるが
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
十八世紀の始め頃欧州で虚栄に満ちた若い婦女が力なき老衰人に嫁する事
荐
(
しき
)
りなりしを慨し、閹人の種類をことごとく挙げて、陽精
涸渇
(
こかつ
)
した男に嫁するは閹人の妻たるに等しく何の楽しみもなければ
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「軍の
機秘
(
きひ
)
。実は味方に秘しているが、君だからもうほんとのことをいってしまう。実は、すでに
涸渇
(
こかつ
)
して、今月を支えるだけの兵糧しかないのだ」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
激しい憤りが頭の中で
渦
(
うず
)
を巻いた。老母や幼児のことを考えると心は
灼
(
や
)
けるようであったが、涙は一滴も出ない。あまりに強い怒りは涙を
涸渇
(
こかつ
)
させてしまうのであろう。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
天才は少しも
涸渇
(
こかつ
)
してはいなかったが、沈滞と破滅とに打ち任せられていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
如何ともなし難い重患だが、幸いにも、敵はただその
涸渇
(
こかつ
)
を待っていて、積極的に、わが通路を断とうとしない。——これなおわが余命のある
所以
(
ゆえん
)
だ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分に生を愛さしてくれたその
美
(
うる
)
わしい芸術が、突然行きづまって
涸渇
(
こかつ
)
し地面に吸い込まれてしまいはすまいかと、びくびくしていた。クリストフはそういう
意気地
(
いくじ
)
ない考えを面白がった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
魏が、敢えて戦わず、長期を持している真意は、あきらかに蜀軍の糧食
涸渇
(
こかつ
)
を待つものであるはいうまでもない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は窓を開いた。それから涙を流しながら耳を傾けた。音楽は雨に似ていて、彼女の
涸渇
(
こかつ
)
した心に一滴ずつしみ込み、その心をよみがえらせた。彼女はふたたび、空を星を夏の夜をながめた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
敵も、寄手の
長囲策
(
ちょういさく
)
と、
粮食
(
ろうしょく
)
の
涸渇
(
こかつ
)
にあせって、時折は、戦いを
挑
(
いど
)
んで来るが、秀吉は厳重に令して
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵糧米の
涸渇
(
こかつ
)
はすでに幾月も前からだが、しかもなお、城兵の意気はあのように
旺
(
さか
)
んである。死を
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、寺侍の株を買い、以来、ぷつんと、ひき籠ったきり、世間のうわさを避けていたが、その坐食の
資本
(
もと
)
も、去年あたりで、
涸渇
(
こかつ
)
してしまい、同時に、病気がちになっていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、それは万一の備えとして、
涸渇
(
こかつ
)
させたくなかった。また今、宇喜多家からそれを取り上げることは、山陽方面の経済上からみても人心の影響から考えても、決して善策でない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川水の
涸渇
(
こかつ
)
しているときは、河原の水は大きな一筋にしかなっていないが、水源地の山岳に雨が降り
嵩
(
かさ
)
むと、忽ち、ここの広い盆地は、あたかも人間の動脈と静脈のように無数の水脈を描き出す。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陣中の兵糧は
涸渇
(
こかつ
)
を呈した。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“涸渇”の意味
《名詞》
涸渇(こかつ、「枯渇」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
乾燥して水(水分)がなくなること。
物や能力などが尽きること。欠乏すること。
(出典:Wiktionary)
涸
漢検1級
部首:⽔
11画
渇
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“涸”で始まる語句
涸
涸沢
涸々
涸沼
涸谷
涸底
涸渓
涸澤
涸燥
涸裂