松平まつだいら)” の例文
柳沢吉保やなぎさわよしやすとか、松平まつだいらなにがしとか、幕閣の諸役人が。……けれど、日本の役人、天下の臣たる人は、あなた様しかおりませんぞ。……
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄の鉄之助てつのすけというのが、その為に高田の松平まつだいら家を呪って、城内に忍び込み、何事をか企てようとしたところを、宿直とのいの侍女に見出されて捕えられた。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
使節は竹内たけのうち松平まつだいら京極きょうごくの三使節、その中の京極は御目附おめつけう役目で、ソレには又相応の属官が幾人も附て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
浅草橋御門からこっちでは、瓦町と茅町二丁目の表通りから大川端まで九割がた町家が取払いになり、松平まつだいらなにがしの下屋敷しもやしき書替役所かきかえやくしょが建つことにきまった。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
越前の福井は松平まつだいら氏の城下。また永平寺えいへいじの国。ここの名は久しくその「羽二重はぶたえ」を以て聞えました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
この特権は松平まつだいら家が会津若松城主となって移ってくるまえの、出羽最上でわもがみ城主時代の特殊の勲功に基づいていたのであることを、『しぐれ草紙』は下のように書くことで
せいばい (新字新仮名) / 服部之総(著)
「知っているとも。昔は武家だったそうだな、松平まつだいらという祖先の姓を名乗っては、相済あいすまないというので、松平を引っくり返して平松屋は、義理堅ぎりがたいようなふざけた話だ」
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
少し行きますと、左側は松平まつだいらという華族の邸でした。やはり黒板塀の門ですが、あまり大きくはありません。亀井家が四万三千石でしたから、それよりも石高こくだかが少かったのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
あおぐ常盤ときわ松平まつだいら——花のお江戸か八百八町——昔にかわる武蔵野の、原には尽きぬ黄金草こがねぐさ——土一升にかね一升、金のる木の植えどころ——百万石も剣菱も、すれちがいゆく日本橋——。
そして、そこからお隣の松平まつだいらさんの離れ座敷まで、コードを引っぱったのです。その離れ座敷には、安井捜査一課長をはじめ、警視庁のものが四五人つめかけているのです。わかりますか。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
越前えちぜん福井ふくいは元きたしょうと云っていたが、越前宰相結城秀康ゆうきひでやすが封ぜられて福井と改めたもので、其の城址じょうしは市の中央になって、其処には松平まつだいら侯爵邸、県庁、裁判所、県会議事堂などが建っている。
首のない騎馬武者 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彦根ひこね井伊氏いいし大垣おおがきの戸田氏、岩村の松平まつだいら氏、苗木なえぎの遠山氏、木曾福島の山村氏、それに高島の諏訪すわ氏——数えて来ると、それらの大名や代官が黙ってみていなかったら、なかなか二門の大砲と
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
塗師町ぬしちょう代地だいちの前は、松平まつだいら越中守様えっちゅうのかみさまのお上屋敷で。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あの松平まつだいらさんにらっした方でしょう」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
与一郎よいちろう(細川)は、もしそちが、敵の二重堀の陣形を攻めるとせば、榊原さかきばらの陣へ当ってゆくか、松平まつだいらの塁をくずしにかかるか」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目安箱へこれを入れる? ……目安箱へ? ……ははア、さてはいよいよ昨日きのうの相談で、常木様と弦之丞様と、そして松平まつだいらの殿様と、何かの話がまとまったな。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二百十日、二十日はつか前後の暴風雨は、毎年のものだった。しかし、尾張をめぐって、より以上不気味なそよ風は、べつに吹いていた。西は美濃みのから、南は三河の松平まつだいらから。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海道かいどうの大勢と、今川、北条ほうじょう、武田、松平まつだいら織田おだなどの実力や趨勢すうせいにも、だいぶ通じることができた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
井伊兵部いいひょうぶ、石川数正かずまさ本多ほんだ平八郎、彦八郎などの一族、鳥居とりい、大久保、松平まつだいら奥平おくだいらなどの譜代ふだい、酒井、榊原さかきばらなどの精鋭、水野、近藤、長坂ながさか坂部さかべ、などの旗本たち——。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、側面には甲斐かいの武田。——京へ伸びんとする足の先には三河みかわ松平まつだいら
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)