月毛つきげ)” の例文
若者の心の中には、両方に刃のついたつるぎやら、水晶をけずった勾玉やら、たくましい月毛つきげの馬やらが、はっきりと浮び上って来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まッ先におどりこんできたのは、高尾の神馬しんめ月毛つきげくらにまたがった加賀見忍剣かがみにんけん、例の禅杖ぜんじょうをふりかぶって真一文字まいちもんじ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
須彌しゆみ三十二さう月毛つきげ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
尤も、馬は二人とも、前のは月毛つきげ、後のは蘆毛あしげの三歳駒で、道をゆく物売りや侍も、振向いて見る程の駿足である。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とたがいにいましめあって、ふたたび道をいそぎだすと、あなたの草むらから、月毛つきげ野馬のうまにのったさげがみの美少女が、ゆらりと気高けだかいすがたをあらわした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月毛つきげなり連錢れんぜんなり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
その月毛つきげつてゐたをんなも、こいつがあのをとこころしたとなれば、何處どこへどうしたかわかりません。差出さしでがましうございますが、それも御詮議ごせんぎくださいまし。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
侠党きょうとうの人々が、御岳みたけのすそ、北多摩きたたまのふもとから青毛あおげ月毛つきげ黒鹿毛くろかげ馬首ばしゅをならべて、ぎんのすすきのなみをうつ秋の武蔵野むさしのを西へさしてったのは、その翌々日よくよくじつのことであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かはいたゆみ黒塗くろぬりのえびらたか征矢そやが十七ほん、——これはみな、あのをとこつてゐたものでございませう。はい、うま仰有おつしやとほり、法師髮ほふしがみ月毛つきげでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かわを巻いた弓、黒塗りのえびらたかの羽の征矢そやが十七本、——これは皆、あの男が持っていたものでございましょう。はい。馬もおっしゃる通り、法師髪ほうしがみ月毛つきげでございます。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
馬は月毛つきげの、——確か法師髪ほうしがみの馬のようでございました。たけでございますか? 丈は四寸よきもございましたか? ——何しろ沙門しゃもんの事でございますから、その辺ははっきり存じません。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
うま月毛つきげの、——たし法師髮ほふしがみうまのやうでございました。たけでございますか? たけ四寸よきもございましたか? ——なにしろ沙門しやもんことでございますから、そのへんははつきりぞんじません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)