撚糸よりいと)” の例文
私は金糸の撚糸よりいと垂房たれぶささわりながら、滝に鯉のぬいとりの中に、信太郎と浮き出している字を見つけました。
虫干し (新字新仮名) / 鷹野つぎ(著)
それが老婆の最も感じ易い神経を刺戟して、この言葉に依つて、まるで蘇つたやうに元気づいた彼女は、単糸ひとへいとの染色から、撚糸よりいとの準備に至るまで、こと細かに物語つた。
織屋おりや仕舞しまひ撚糸よりいとつむぎと、白絽しろろを一ぴき細君さいくんけた。宗助そうすけこのつまつたくれに、なつひと餘裕よゆうのあるものはまた格別かくべつだとかんじた。すると、主人しゆじん宗助そうすけむかつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こういう時に、僕は自分のきているジャケツの毛糸を解き、その毛糸を幾本かあつめて撚糸よりいとにし、また、屋根板から一本のくぎを抜取って、これを曲げて釣針をつくって釣りをした。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
圓鋸機ゑんきよき帶形鋸機たいけいきよきのほとりには、角材かくざい鐵材てつざいやまごとく、其他そのほか空氣壓搾喞筒くうきあつさくぽんぷ電氣力發機等でんきりよくはつきとう緻密ちみつなる機械きかいより、銀鑞ぎんらう白鑞はくらう、タールづな、マニラづな縫糸ぬひいと撚糸よりいと金剛砂布こんがうしやふ黒鉛こくゑん氣發油きはつゆう白絞油はくかうゆう
かけてまたときつ思案しあんにもつるゝ撚糸よりいと八重やへなげきはまたことなりしげ若葉わかばさまたげとおほせられしはことならずやくらまよひとたんたまへどさとりたればこその御取持おとりもちなれおもなかのお兩方ふたかた生涯しやうがいのぞみもたのみも御讓おゆづり申しておもくこと些少いさゝかなきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
織屋はしまいに撚糸よりいとつむぎと、白絽しろろ一匹いっぴき細君に売りつけた。宗助はこの押しつまった暮に、夏の絽を買う人を見て余裕よゆうのあるものはまた格別だと感じた。すると、主人が宗助に向って
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)