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捻向
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ねぢむ
婦人はとにもかくにも
遣過せしが、又何とか
思直しけん、
遽に追行きて呼止めたり。
頭を
捻向けたる酔客は
眊れる
眼を
屹と見据ゑて、
自か
他かと
訝しさに
言も
出さず。
と
捻向いて、
痩按摩は
腰を
屈めながら、
丁ど
足許に一
基あつた……
瓦斯燈の
根を、
其處に
轉がつた、ごろた
石なりにカチ/\と
杖で
鳴らした。が
音も
響かず、
靄に
沈む。
極めて
狭い
溝板の上を通行の人は
互に身を
斜めに
捻向けて
行き
交ふ。
稽古の
三味線に人の
話声が
交つて
聞える。
洗物する
水音も
聞える。赤い
腰巻に
裾をまくつた
小女が
草箒で
溝板の上を
掃いてゐる。
三人は
倶に
歩始めぬ。貫一は
外套の肩を払はれて、
後を
捻向けば宮と
面を合せたり。
氣の
可い
中親仁だつた。
車夫は、
楫棒を
上げたまゝ
捻向いて
頭を
捻向けて満枝に対せる鴫沢の顔の色は、この時
故に解きたりと見えぬ。