よろこ)” の例文
自己の信仰の径路を思い廻らすとき、親鸞はそれが不思議にも弥陀の三願によって言い当てられていることを驚きかつよろこぶのである。
親鸞 (新字新仮名) / 三木清(著)
母公はただもうほくほくよろこびぬいている。孫権はわれとわが心をしつぶして、玄徳に対して起る尊敬や畏れをいて戒めていた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日和尚の云う言葉に其の方は水道端へ参るだろう、参る時は必ず待っている者があり、かつよろこび事があると申しましたが、私の考えは
縁付ると聞いて、お政はうらやましいと思う心を、少しもかくさず、顔はおろか、口へまで出して、事々しくよろこびをべる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
在るが故によろこぶべきか、きが故にいたむべきか、在る者は積憂の中にき、亡き者は非命のもとたふる。そもそもこのかつとこの死とはいづれあはれみ、孰をかなしまん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
またそれがいつかよろこばしい気持ちにも転じて来て、暫くは眼下に静まった牧場を見降ろしながら、さらに思いもうけぬ意味ふかまったこの眺めだと彼は思った。
罌粟の中 (新字新仮名) / 横光利一(著)
旅順が落ちたっていうことはそれだけで、充分およろこびしていいことだと思いますよ。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
まず復讐本懐のおよろこび、貝十郎申し述べるでござりましょう。ご辛労のほどもお察し申す。次に田沼様お屋敷において、そなたを危険にさらしました段、拙者より改めてお詫び申す。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
よろこびが重なったので、家中がひとしお春めいた。例年よりは見事な年暮ねんぼの下され物が、奉公人を欣ばした。五日の晩になって、年頭の客も絶えたので、奉公人一統に祝い酒を許されたのであった。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
わたくしふか統一とういつからめたときに、おもいもらず最前さいぜんからそこにひかえてっていたのは、数間かずまじいやでございました。じいやは今日きょう鎮座祭ちんざさいよろこびをべたあとで、突然とつぜんんなことをしました。——
「まあ、お待ちください。せっかくのおよろこびに、しばり首を見るのも、不吉ではございませぬか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
只管ひたすらに頼みますから、長二も其の考えを面白く思い、打解けて仏壇を持帰るのを見合せましたから、助七は大喜びで、無類の仏壇が出来たよろこびの印として手間料の外に金百両を添えて出しましたが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうでしたか。それはそれは」と梶はよろこびをあらわして云った。
罌粟の中 (新字新仮名) / 横光利一(著)
孔明も直ちに、漢中の礼物を山と積ませて、呉へ賀使を送り、よろこびの表を呈した。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなた様こそ、夢のようなお変りよう、およろこび申しあげまする」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はて、よろこび事とは」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)