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いしゅ
ふりがな文庫
“
意趣
(
いしゅ
)” の例文
とにかくに
意趣
(
いしゅ
)
も遺恨もない人間を七人までも斬ったと云うのは、考えてもおそろしい事です。気が狂ったに相違ありますまい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『何の
意趣
(
いしゅ
)
があって、他家へ嫁がせる娘にあらぬ
悪罵
(
あくば
)
を浴びせたのみか、娘の部屋へ忍び入ったか。その返答を承まわろう』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうなれば
屹度
(
きっと
)
この間の
意趣
(
いしゅ
)
を返すに違いはありません、
何
(
なん
)
でも彼奴が一件を
立聞
(
たちぎき
)
したに違いないから、
貴方
(
あなた
)
何
(
ど
)
うかして孝助
奴
(
め
)
を殺して下さい
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
数馬
(
かずま
)
の
意趣
(
いしゅ
)
を含んだのはもっともの次第でございまする。わたくしは
行司
(
ぎょうじ
)
を勤めた時に、
依怙
(
えこ
)
の
振舞
(
ふるま
)
いを致しました。」
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたくしは、それをたゞ昨日の
意趣
(
いしゅ
)
返しとばかり思ってひたすら無関心の工夫をしていますと、彼女はしまいに
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
けれども、もともと
意趣
(
いしゅ
)
がえしをするつもりなのですから、さしかえるときに、わざとしくじって、小さなろうそくは、ころりとひっくりかえって消えました。
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
その方にたいしなんの
意趣
(
いしゅ
)
をもいだかぬし、又そのほうもこのうえ義理をたてるところもないであろう。
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
左膳への
意趣
(
いしゅ
)
返しには弥生のいどころを知ったお藤、ひそかに何事か胸中にたたんで、わななくお艶をいそがせて庭に立ったが、まもなく化物屋敷の裏木戸から
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
古
(
ふる
)
び
錆
(
さ
)
びついたる
戟共
(
ほこども
)
を
同
(
おな
)
じく
年老
(
としお
)
いたる
手々
(
てんで
)
に
把
(
と
)
り、
汝等
(
なんぢら
)
が
心
(
こゝろ
)
に
錆
(
さ
)
びつきし
意趣
(
いしゅ
)
の
中裁
(
ちゅうさい
)
に
力
(
ちから
)
を
費
(
つひや
)
す。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
しばらくは
意趣
(
いしゅ
)
に見返すふうだったが、やがて一種の恐怖に襲われたらしく、干し物を
竿
(
さお
)
に通しもせずにあたふたとあわてて干し物台の急な
階子
(
はしご
)
を駆けおりてしまった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
掏摸
(
すり
)
の
仕業
(
しわざ
)
だと思えばそれまでの事であるが、またどうやら
意趣
(
いしゅ
)
ある者の
悪戯
(
いたずら
)
ではないかという気がしたのは、その
後
(
ご
)
猫の子の死んだのが貸間の押入に投入れてあった事である。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことに腕力で負けた
意趣
(
いしゅ
)
ばらしにナイフでも振りまわすのかという疑念があった。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また、時には
意趣
(
いしゅ
)
がえしに、
偉
(
えら
)
い音楽家の
曲
(
きょく
)
を自分のだと
嘘
(
うそ
)
をいって、たちのわるい
悪戯
(
いたずら
)
をすることもあった。そして
小父
(
おじ
)
がたまたまそれをけなしたりすると、彼はこおどりして
喜
(
よろこ
)
んだ。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
雪さんに
意趣
(
いしゅ
)
がえしをするなら、おいらの目の前で、一寸だめし、五分だめしに逢って、のた打ちまわるところを、この目で見てやりたい——一件を三斎隠居に訴えるようなことをしたら、あの人は
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「三右衛門、
数馬
(
かずま
)
はそちに闇打ちをしかけたそうじゃな。すると何かそちに対し、
意趣
(
いしゅ
)
を含んで居ったものと見える。何に意趣を含んだのじゃ?」
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
意趣
(
いしゅ
)
も
遺恨
(
いこん
)
もない通りがかりの人間を斬り倒して、刀の斬れ味を試すという乱暴な侍のいたずらであった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
坂上主膳
(
さかがみしゅぜん
)
という武士のために、
楯岡
(
たておか
)
の藩祖の
菩提寺
(
ぼだいじ
)
のすこし
下
(
しも
)
手町の辻で斬られたのであった。原因は
意趣
(
いしゅ
)
、その
詳
(
つまび
)
らかな事実は、おまえがもっと大人になれば自然分ってくる。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべっこい大理石の柱のように思ったものが何か
意趣
(
いしゅ
)
を
泛
(
うか
)
べて来て、「おゝ/\」と言いながらわたくしの手を握り締め、それから
象牙
(
ぞうげ
)
細工のような磨かれた顔がすっと寄って来て
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二人はわざと
意趣
(
いしゅ
)
に争ってから、妹はとうとう先に寝る事にする。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それだけの
意趣
(
いしゅ
)
で竹馬の友ともいうべき堀口を殺害するとは、何分にも解し難いことであるという説もあったが、それを除いては他に子細がありそうにも思えなかった。
妖婆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
意趣
(
いしゅ
)
に、当家のことを悪しざまにざん
訴
(
そ
)
されても困る。伊木、何とかしておけやい
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしは先生に何か他に別な
意趣
(
いしゅ
)
があるとよりしか思われません。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それらの事実から考えると、どうしても普通の物取りではなく、なにかの
意趣
(
いしゅ
)
らしいという。この鳥打帽の男は宇都宮の折井という刑事巡査であることを後にて知りたり。
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『かまきり、何だって俺を。……何も俺に
意趣
(
いしゅ
)
も恨みもあるめえに』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「菊地半九郎はそれほど卑怯な男でない。さしたる
意趣
(
いしゅ
)
も
遺恨
(
いこん
)
もないに、朋輩ひとりを殺したからは、いさぎよく罪を引受けるが武士の道だ。ともかくも市之助に逢って分別を決める」
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『恋の
意趣
(
いしゅ
)
は、古来からおそろしいものに極っている』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この画は人間の体勢に巧みであるが、人間の
意趣
(
いしゅ
)
というものが本当に現われていない。わたしはこの画に対してなんらの筆を着けずに、一層の精彩を加えてお見せ申そうと思うが、いかがでしょう」
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
意趣
(
いしゅ
)
か
遺恨
(
いこん
)
か、何でおれの足をすくった!」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“意趣”の意味
《名詞》
意向。
意図。
意地。
遺恨。
(出典:Wiktionary)
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
趣
常用漢字
中学
部首:⾛
15画
“意趣”で始まる語句
意趣返
意趣遺恨
意趣喧嘩
意趣斬
意趣遺恨等