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忙
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いそがわ
ふりがな文庫
“
忙
(
いそがわ
)” の例文
純一は
忙
(
いそがわ
)
しげに支度をして初音町の家を出た。出る前にはなぜだか暫く鏡を見ていた。そして出る時手にラシイヌの文集を持っていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人仕事
(
ひとしごと
)
に
忙
(
いそがわ
)
しい家の、晩飯の支度は遅く、
丁
(
ちょう
)
ど
御膳
(
ごぜん
)
。
取附
(
とっつき
)
の障子を
開
(
あ
)
けると、
洋燈
(
ランプ
)
の
灯
(
あかし
)
も
朦朧
(
もうろう
)
とするばかり、
食物
(
たべもの
)
の湯気が立つ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて落着て居廻りを
視回
(
みまわ
)
すと、
仔細
(
しさい
)
らしく
頸
(
くび
)
を
傾
(
かたぶ
)
けて
書物
(
かきもの
)
をするもの、
蚤取眼
(
のみとりまなこ
)
になって
校合
(
きょうごう
)
をするもの、筆を
啣
(
くわ
)
えて
忙
(
いそがわ
)
し気に帳簿を繰るものと種々さまざま有る中に
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
娘の
嫁入前
(
よめいりまえ
)
に
母子
(
ぼし
)
ともに
忙
(
いそがわ
)
しきは、仕度の品を
買
(
かっ
)
てこれを製するがために非ず、その品を造るがためなり。
或
(
あるい
)
はこれを買うときは、そのこれを買うの
銭
(
ぜに
)
を作るがためなり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
玫瑰
(
まいかい
)
の茶を
啜
(
すす
)
りながち、余君穀民が局票の上へ健筆を振うのを眺めた時は、何だか御茶屋に来ていると云うより、郵便局の腰掛の上にでも、待たされているような
忙
(
いそがわ
)
しさを感じた。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
小山がいまだそれを
賞翫
(
しょうがん
)
しおわらざるに別の小皿を食卓の上に
載
(
の
)
せ「これも昨日奥さんにお話し申した
百合
(
ゆり
)
の
梅干和
(
うめぼしあえ
)
です」客は一々箸を着くるに
忙
(
いそがわ
)
しき処へ今度は下女が持ち出す大きな皿
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
衣
(
きぬ
)
引まくれ胸あらわに、
膚
(
はだえ
)
は春の
曙
(
あけぼの
)
の雪今や
消
(
きえ
)
入らん
計
(
ばか
)
り、見るから
忽
(
たちま
)
ち肉動き
肝
(
きも
)
躍って分別思案あらばこそ、雨戸
蹴
(
け
)
ひらき
飛込
(
とびこん
)
で、人間の手の四五本なき事もどかしと
急燥
(
いらつ
)
まで
忙
(
いそがわ
)
しく、手拭を
棄
(
す
)
て
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ちょうど文三の真向うに八字の浪を額に寄せ、
忙
(
いそがわ
)
しく眼をしばたたきながら
間断
(
たゆみ
)
もなく算盤を
弾
(
はじ
)
いていた年配五十前後の老人が、不図手を
止
(
とど
)
めて珠へ指ざしをしながら
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
朝野
(
ちょうや
)
共に物論沸騰して、武家は
勿論
(
もちろん
)
、長袖の学者も医者も坊主も皆政治論に
忙
(
いそがわ
)
しく、酔えるが
如
(
ごと
)
く狂するが如く、人が人の顔を見れば
唯
(
ただ
)
その話ばかりで、幕府の城内に規律もなければ礼儀もない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それぞれけがの手当てに
忙
(
いそがわ
)
しい。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
忙
常用漢字
中学
部首:⼼
6画
“忙”を含む語句
急忙
慌忙
忙々
心忙
気忙
多忙
忙殺
怱忙
繁忙
大忙
息忙
忙敷
連忙
匆忙
御忙
匇忙
忙裏
御多忙
小忙
忙込
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