いよいよ)” の例文
旧字:
いよいよ御勝おすぐれあそばし、寒さの御障おさわり様もあらせられず、御さえ/″\しく入らせられ候御事、数々御めで度く、御よろこび申上げまゐらせ候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
国許くにもと之儀は、いよいよ稠敷きびしく仰渡候由候処に、せしめ違背密々呑申者共有之、後には相知、皆死罪に為仰渡由候云々。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
独語ひとりごつやうに言ひて、満枝はいよいよ寄添ひつ。貫一はこらへかねて力任せにうんと曳けば、手は離れずして、女の体のみ倒れかかりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
然ニ先日の御書中大芝居の一件、兼而かねて存居候所とや、実におもしろくよく相わかり申候間、いよいよ憤発可仕奉存候。
どんな女か見たいとも思ったが、今更見るのはいよいよ間が悪いので見ずにいる。そのうちに純一は又寐入った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
で、いよいよ移居ひっこしを始めてこれに一朝ひとあさ全潰まるつぶれ。傷もいたんだが、何のそれしきの事にめげるものか。もう健康な時の心持はわすれたようで、全く憶出おもいだせず、何となくいたみなじんだ形だ。
何となればわたくしは癸亥震災以後、現代の人心は一層険悪になり、風俗はいよいよ頽廃たいはいせんとしている。かくの如き時勢にあって身を処するにいかなる道をか取るべきや。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「何故と言って、彼奴は馬鹿だ、課長に向って此間こないだのような事を言う所を見りゃア、いよいよ馬鹿だ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
濃州に立越え稲葉伊予守に所縁あるを以て暫時かくまはれて居たりしかば、信長の軍立いくさだて能々よくよく見知りてありけるが、今度このたび織田徳川矛盾に及ぶと、浅井を見続みつがずばいよいよ不忠不義の名をこうむるべしとおもひ
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「私、いよいよ決心しました。」女の方から話しかけた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
其後腫脹しゅちょういよいよ甚しかったと記してある。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
冷気次第に相増し候へ共、いよいよ御安全可成目出度奉存候。随而したがつて野生儀道中筋無異議江戸に着仕り、築地屋敷に罷在候。乍憚御休意被下度候。
ただ飛来とびく弾丸たまに向い工合ぐあい、それのみを気にして、さて乗出のりだしていよいよ弾丸たまの的となったのだ。
いよいよ御機嫌よく、御悦申上候。相かはらず来月十九日納会相催し候まゝ、何とぞ/\御ばゝ様御同道にて御出おいで願ひ上候。遠方ゆえ御出なくば、御詠にてもいたゞき度、此段申上候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
この障礙はかみに抽斎の経歴を叙して、その安政中の末路に近づいた時、早く既にこうべもたげげて来た。これからのちは、これがいよいよ筆端に纏繞てんじょうして、いとうべき拘束を加えようとするであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
七月、タバコ法度はっと之事、いよいよ禁ト云々、火事其外ツイエアル故也。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
当時於江戸いよいよ攘夷と申に相成、勝麟太郎殿其事にあずかり、元より幕よりも重く被命候事ニて候。猶龍馬らも要ニ有之候て江戸よりの書状八月廿八日ニ参り同九日ニ大坂を発足致事ニ相成候。
其事を承り候てハ、早〻下の関へ出かけ候も、何とか力ラなくもふ敵がなけれバ、存候。将軍もいよいよ死去仕、後ハ一橋又紀州が後ト目ニ望ミ候得ども、一向一の論なく候よし。何レニしても幕中大破ニ相成候よし。
いよいよ御機嫌よく御座目出度奉存候。