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幾千里
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いくせんり
其の向うは、
鰐の泳ぐ、
可恐い
大河よ。……
水上は
幾千里だか分らない、
天竺のね、
流沙河の
末だとさ、河幅が三里の上、深さは
何百尋か分りません。
其の
向うは、
鰐の
泳ぐ、
可恐い
大河よ。……
水上は
幾千里だか
分らない、
天竺のね、
流沙河の
末だとさ、
河幅が三
里の
上、
深さは
何百尋か
分りません。
此不思議なる
縁に
結ばれし
三人は
之から
海原遠く
幾千里、ひとしく
此船に
運命を
托して
居るのであるが、
若し
天に
冥加といふものが
在るならば
近きに
印度洋を
※る
時も
支那海を
行く
時にも
「べらぼうめ、
飛越したぐらゐの、ちよろ
川だ、また
飛返るに
仔細はあるめえ。」と、いきつて
見返すと、こはいかに、
忽ち
渺々たる
大河と
成つて、
幾千里なるや
果を
見ず。