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小庭
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こにわ
ふりがな文庫
“
小庭
(
こにわ
)” の例文
古ぼけた
葭戸
(
よしど
)
を立てた縁側の
外
(
そと
)
には
小庭
(
こにわ
)
があるのやらないのやら分らぬほどな
闇
(
やみ
)
の中に軒の
風鈴
(
ふうりん
)
が
淋
(
さび
)
しく鳴り虫が
静
(
しずか
)
に鳴いている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
硝子窓
(
がらすまど
)
から形ばかり
埒
(
らち
)
を結った自然のまゝの
小庭
(
こにわ
)
や甘藍畑を見越して、黄葉のウエンシリ山をつい鼻のさき見る。小机一つ火の気の少ない箱火鉢一つ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
もう老い
朽
(
く
)
ちてしまえば山へも行かれず、海へも出られないでいますが、その代り
小庭
(
こにわ
)
の
朝露
(
あさつゆ
)
、
縁側
(
えんがわ
)
の夕風ぐらいに満足して、無難に平和な日を過して行けるというもので
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
見透
(
みとおし
)
の裏は
小庭
(
こにわ
)
もなく、すぐ
隣屋
(
となり
)
の
物置
(
ものおき
)
で、
此処
(
ここ
)
にも
犇々
(
ひしひし
)
と材木が
建重
(
たてかさ
)
ねてあるから、薄暗い中に、
鮮麗
(
あざやか
)
なその浅黄の手絡と
片頬
(
かたほ
)
の白いのとが、
拭込
(
ふきこ
)
んだ柱に映って、ト見ると
露草
(
つゆぐさ
)
が咲いたようで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その理由は
啻
(
ただ
)
に男女相思の艶態に恍惚たるがためのみに
非
(
あら
)
ず、人物と調和せるその背景が常に
清洒
(
せいしゃ
)
なる
小家
(
こいえ
)
の
内外
(
ないがい
)
を描き、
格子戸
(
こうしど
)
小庭
(
こにわ
)
欞子窓
(
れんじまど
)
より
枕
(
まくら
)
屏風
(
びょうぶ
)
長火鉢
(
ながひばち
)
箱梯子
(
はこばしご
)
竈
(
かまど
)
等に至るまで
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
それより小道具衣裳方あり廊下の
端
(
はずれ
)
より離れて
団洲
(
だんしゅう
)
の室に至る。
小庭
(
こにわ
)
をひかへて
宛然
(
さながら
)
離家
(
はなれや
)
の
体
(
てい
)
をなせり。
表梯子
(
おもてはしご
)
を
上
(
のぼ
)
れば
猿蔵
(
さるぞう
)
染五郎
二人
(
ににん
)
の室あり家橘栄三郎これに隣してまた鏡台を並ぶ。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その家屋も
格子戸
(
こうしど
)
欞子窓
(
れんじまど
)
忍返
(
しのびがえ
)
し竹の
濡縁
(
ぬれえん
)
船板
(
ふないた
)
の
塀
(
へい
)
なぞ、
数寄
(
すき
)
を
極
(
きわ
)
めしその
小庭
(
こにわ
)
と共にまた
然
(
しか
)
り。これ美術の価値以外江戸末期の浮世絵も余に取りては容易に捨つること能はざる
所以
(
ゆえん
)
なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
晴れた空には早や秋の気が十分に
満渡
(
みちわた
)
っているせいか銀河を始め
諸有
(
あらゆ
)
る星の光は落ちかかる
半輪
(
はんりん
)
の月よりもかえって
明
(
あかる
)
く、
石燈籠
(
いしどうろう
)
の火の消残る
小庭
(
こにわ
)
のすみずみまで
隈
(
くま
)
なく照しているように思われた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小庭
(
こにわ
)
を走る
落葉
(
おちば
)
の
響
(
ひびき
)
、障子をゆする風の音。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その歌声は
小庭
(
こにわ
)
のかたに消えて行く
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
庭
常用漢字
小3
部首:⼴
10画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父