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こにわ
見透の裏は
小庭もなく、すぐ
隣屋の
物置で、
此処にも
犇々と材木が
建重ねてあるから、薄暗い中に、
鮮麗なその浅黄の手絡と
片頬の白いのとが、
拭込んだ柱に映って、ト見ると
露草が咲いたようで
その理由は
啻に男女相思の艶態に恍惚たるがためのみに
非ず、人物と調和せるその背景が常に
清洒なる
小家の
内外を描き、
格子戸小庭欞子窓より
枕屏風長火鉢箱梯子竈等に至るまで
それより小道具衣裳方あり廊下の
端より離れて
団洲の室に至る。
小庭をひかへて
宛然離家の
体をなせり。
表梯子を
上れば
猿蔵染五郎
二人の室あり家橘栄三郎これに隣してまた鏡台を並ぶ。