寢言ねごと)” の例文
新字:寝言
或る晩に床の中で眼をつぶつたまま寢言ねごとのふりして、まんねんひつ、まんねんひつ、と隣部屋で客と對談中の父へ低く呼びかけた事があつたけれど
思ひ出 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
商ふ物賣ものうりの聲も花街くるわ商人あきんど丁稚でつち寢言ねごと禿かふろと聞え犬の遠吼とほぼえ按摩針あんまはりの聲迄もすべ廓中くるわの事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まるで酒場さかばひどれのやうな兵士へいし集團しふだんしめつた路上ろじやうおもくつりながら、革具かはぐをぎゆつぎゆつきしらせながら劍鞘けんざやたがひにかちあはせながら、折折をりをり寢言ねごとのやうなうなごゑてながら
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
うもへるさ』と福鼠ふくねずみ附言つけたしました、まる寢言ねごとでもふやうに、『「わたしねむつて呼吸いきをしてる」とつても、「わたし呼吸いきをしてるねむつてゐる」とつてもおなじことだ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
日本語と支那語との合子の寢言ねごとを申して居るのである。
大師の入唐 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
なす失果うせはてて立歸りしが氣もむすぼとこへ這入て忘れんと目睡まどろむゆめの其中に水をくれしを見たりしがさて寢言ねごとを言たるか面目なしと計りにて一一什しじふを語りけるをきゝ忠兵衞はあきはて吐息といき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うかゞはんとて障子しやうじそとへ參りしをり寢言ねごとなるか夫かあらぬか如此これ/\和君あなたは仰せ有ましたがねつもあらぬに今の御言葉どうも合點がてんが參りませぬ然すれば病氣と仰被おつしやるうそにて途中とちうで何事か有しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)