吉田よしだ)” の例文
その夜、玉村君は、松井まつい君、吉田よしだ君という、ふたりの友だちと、渋谷の大東だいとう映画館で、日本もののスリラー映画を見ていました。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
村を逃げだした由平は、足のむくままに吉田よしだへ往って、其処の旅宿へ草鞋わらじを解いた。宿のじょちゅうは物慣れた調子で由平を二階の一間へ通した。
阿芳の怨霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今日の世話役は、もと女学校の先生だつた、若いをばさんの「水野みづのさん」と、ペンキ屋で、兵隊上りの「吉田よしださん」とです。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
吉田よしださんは、東京とうきょうへおいきなきるって、ほんとうですか。」と、年寄としとって、もうかみ白毛しらがえる先生せんせいが、いわれました。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
ハナハダシキハコノ家ノ所在地ノ町名ガ、———左京区トイウヿマデハ分ルガ、吉田よしだうしみや町トイウ名ガ出テ来ナカッタ。僕ハ内心非常ナ不安ニ襲ワレタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また、「妹も吾も一つなれかも三河なる二見ふたみの道ゆ別れかねつる」(同・二七六)というのもある。三河の二見は御油ごゆから吉田よしだに出る二里半余の道だといわれている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
思切おもいきり大声を張上はりあげて「誰だ!」と大喝だいかつ一声いっせい叫んだ、すると先方さきは、それでさも安心した様に、「先生ですか」というのだ、私はその声を聞いて、「吉田よしだ君かい」というと
怪物屋敷 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)
同じ朝、同じ饗応役をいいつかったのは、伊予いよ吉田よしだの城主、伊達左京介だてさきょうのすけであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを本朝弓道の中祖、斯界の人々仰がぬ者なく、日置流より出て吉田よしだ流あり、竹林ちくりん派、雪荷せっか派、出雲いづも派あり、下って左近右衛門さこんえもん派あり、大蔵おおくら派、印西いんざい派、ことごとく日置流より出て居るという。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
致されしがかろからざる上意にて今は閉門へいもんの身となりけれど此事は中々なか/\打捨置難うちすておきがたき大事なれば公用人平石ひらいし右衞門吉田よしだ三五郎池田大助いけだだいすけの三人をまねかれ申されけるは予は天一を贋者にせものと思ひ定め再吟味の儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
長吉ちょうきちはやっと自分じぶんでなかったので安心あんしんしましたが、吉田よしだばれた生徒せいと自分じぶんとはわずかに二、三にんあいだへだてているくらいでありましたから
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はうぶりし寺は當村なりやとたづぬるに向ふに見え候山のふもとにて宗旨しうしは一向宗かうしう光照寺と申し候ときいて然らば其せつ住持ぢうぢは未だ存命ぞんめい致し居やと有にさん候其節の住持祐然いうねんと申すは未だ壯健たつしやに候と答へける吉田よしだ三五郎さらば光照寺住持ぢうぢ祐然を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでもついに吉田よしだてゆきました。そして黒板こくばんこたえをきました。それはとどこおりなくできていたので、吉田よしだかおはなやいでうれしそうでありました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
吉田よしだはぐずぐずしてすぐにていかなかったので、いっそう長吉ちょうきちがいらいらして、もし自分じぶんにあたったらどうしよう、このまえのときも自分じぶんはできなかったのだから
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)