取交とりか)” の例文
(急に低くなりますから気をつけて。こりゃ貴僧あなたには足駄あしだでは無理でございましたかしら、よろしくば草履ぞうりとお取交とりかえ申しましょう。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、丁度その頃から、彼と彼の父との間に、金銭上の事で何かごたごたした不機嫌な会話が屡々しば/\取交とりかはされるやうになつた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
この偶然の会話を取交とりかわして以来、どちらが待ち合わせるともなく、私達はちょくちょく帰りが一緒になる様になった。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
飯「そんな事が出来るものか、翌日あす結納を取交とりかわす積りだ、向うでも来月初旬に婚礼を致す積りだ」
清潔きれい洋盃カツプれ』と帽子屋ばうしやくちれて、『みんなでひと場所ばしよ取交とりかへやうぢやないか』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「そんなことは、ありません。ねえ、あなた。この警官は、なにか大へん勘ちがいをしていらっしゃるのですよ。結婚のとき取交とりかわしたあたしの名前をった指環ゆびわを見せてあげてください……」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きふひくくなりますからをつけて。こりや貴僧あなたには足駄あしだでは無理むりでございましたか不知しらよろしくば草履ざうりとお取交とりかまをしませう。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
相談は早いがよろしい、何でも命を助けた恩人が頼む事だから、貴方の方でもいやとは仰しゃれまい、ことに結構な事で、此の上も無く目出度めでたい事で、何うか早々そう/\結納を取交とりかわして
火鉢にはかまの声、はるかに神路山の松に通い、五十鈴川のながれに応じて、初夜も早や過ぎたる折から、ここの行燈あんどうとかしこのランプと、ただもう取交とりかえるばかりの処。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その取交とりかはすにはおよばずとも、そばにつきつて、朝夕あさゆふ話対手はなしあひてきのこしる御膳ごぜんべたり、わしほだいて、婦人をんななべをかけて、わしひろつて、婦人をんなかはいて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)