勢揃せいぞろ)” の例文
明日あす大楠山おおくすやま巻狩まきがりじゃ』などと布達おふれると、乗馬じょうば手入ていれ、兵糧へいろう準備したく狩子かりこ勢揃せいぞろい、まるで戦争いくさのような大騒おおさわぎでございました。
みんなはその家の前で勢揃せいぞろいをすると、もと来た道を帰りました。二郎次も、逃げようとすればすぐにも殺されそうなので、恐る恐るあとから附いて帰りました。
三人兄弟 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
紀伊家の一行が勢揃せいぞろいを始め、吹きだした弱い東南の風に、霧が薄れてゆくなかを、やがて出発するのが見えた。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
八十人あまりのおもに薩摩のさむらいが二階と階下とに別れて勢揃せいぞろいしているところへけつけてきたのは同じ薩摩なまりの八人で、鎮撫ちんぶに来たらしかったが、きかず
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
勢揃せいぞろいがすむと、ねずみ仲間なかまは、おやねずみ、子ねずみ、じじいねずみにばばあねずみ、おじさんねずみにおばさんねずみ、お婿むこさんねずみにおよめさんねずみ、まご、ひこ
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
まず会主のお宅の玄関に於いて客たちが勢揃せいぞろいして席順などを定めるのであるが、つねに静粛を旨とし、大声で雑談をはじめたり、または傍若無人の馬鹿笑いなどするのは
不審庵 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そんな没分暁わからずやの非義非道な役人は夜討ちをかけてやっつけてしまえと、勢揃せいぞろいまでしてみましたが、年寄たちがまあまあと留めるものですから我慢をしていました、そうすると
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
切り裂かれた疵口きずぐちからは怨めしそうに臓腑ぞうふい出して、その上には敵の余類か、こがねづくり、薄金うすがねよろいをつけたはえ将軍が陣取ッている。はや乾いた眼の玉の池の中にはうじ大将が勢揃せいぞろえ。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
背中にある大きな風呂敷ふろしき、日をうけて光る笠、あだかもつばめが同じような勢揃せいぞろいで、互に群を成して時季を違えず遠いところからやって来るように、彼等もはるばるこの山の上まで旅して来る。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
田植時たうえどきも近いので、の田も生温なまぬるい水満々とたたえ、短冊形たんざくがたの苗代は緑の嫩葉わかば勢揃せいぞろい美しく、一寸其上にころげて見たい様だ。どろ楽人がくじん蛙の歌が両耳にあふれる。甲州街道を北へ突切つっきって行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「んで、皆勢揃せいぞろえしたところで、畜生等にねじ込もうッて云うんだ」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
長い奴が勢揃せいぞろいをして一尺ばかり空中に釣るし上げられる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勢揃せいぞろ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)