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判然
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わか
ふりがな文庫
“
判然
(
わか
)” の例文
詳
(
くわ
)
しい事は
判然
(
わか
)
りませんが、その遊神湖という湖の周囲には、歴史以前に崑崙国といって、素敵に文化の進んだ一つの王国があったそうです。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
笑うたびに、津田はまた彼女を
追窮
(
ついきゅう
)
した。しまいに彼女の名がつきだと
判然
(
わか
)
った時、彼はこの珍らしい名をまだ
弄
(
もてあそ
)
んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今迄の途なら嶮しくても知つてゐる、此れから先きの途は如何なるとも
判然
(
わか
)
らないと云ふのか。私は耐らなくなつた。同時に小兒等は大きな聲を擧げて泣き出した。
夢
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
、
吉江孤雁
(著)
「……その小舟に泳ぎ付く途中で、何だか
判然
(
わか
)
らないものが水の中から、イキナリ吾輩の左足にカジリ付いたんだ。ピリピリと痛いくらいにね」
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ただ一面の短い草の原、今まで来た道は何処へやら、さっぱり
判然
(
わか
)
らなくなってしまった。が仕方がない、川を伝って下りて行った。何だか
擂鉢
(
すりばち
)
の底でもめぐっているような思いがする。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
▼ もっと見る
白い
斑
(
まだら
)
と見えたのは顔や、手足や、服の破れ目から露出した死人の皮膚で、それが何千あるか、何万あるか
判然
(
わか
)
らない。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その刹那の印象が繰返して現われて来たのを見ると、その光りの正体が
判然
(
わか
)
り過ぎる位アリアリとわかったのであった。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
泣いているのか、笑っているのか
判然
(
わか
)
らないまま……洋紙のように
蒼褪
(
あおざ
)
めた顔色の中で、左右の赤い眼が代る代る開いたり閉じたりし初めました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「何か
判然
(
わか
)
りまっせんばってん、事件から
後
(
のち
)
、夜になると
隣家
(
となり
)
の
家
(
うち
)
の中をば、火の玉が転めき廻わるチウお話で……」
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ここで金兵衛の妾の話が出たので、直ぐに飛び付くように金兵衛の素行調べに移った訳だが、その妾というのは検番を調べてまわると直ぐに
判然
(
わか
)
った。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そんな光景を見るともなく見まわしているうちに福太郎は、ヤット自分が仕出かした事が
判然
(
わか
)
ったように思った。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうして
扉
(
ドア
)
の
把手
(
ハンドル
)
に手をかけると三人が三人とも恐しそうに中腰になりかけたが、直ぐに又腰を
卸
(
おろ
)
した。妙な奴だと思ったが間もなくその
怯
(
おび
)
えている理由が
判然
(
わか
)
った。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
現場
(
げんじょう
)
を見なければ
判然
(
わか
)
らないが、その秘密の現金を狙った奴が、わざと
老爺
(
じじい
)
に上等の下駄を
誂
(
あつら
)
えて
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
汽笛
(
ふえ
)
なんか鳴らしたから
不可
(
いけ
)
なかったんです。……
傾
(
かし
)
いだ原因はまだ
判然
(
わか
)
りませんが、船底の
銅版
(
あか
)
と、
木板
(
いた
)
の境い目二尺に五尺ばかりグザグザに遣られただけなんです。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ストーン氏はこの言葉を聞くとやっと
仔細
(
わけ
)
が
判然
(
わか
)
ったらしく
点頭
(
うなず
)
いた。けれども、それと同時にいよいよこの女に興味を持ち初めたらしく
身体
(
からだ
)
をすこし乗り出して来た。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「毎日毎日、同じ掃溜を覗いておりますると
大抵
(
あらかた
)
その家の身代の成行きが
判然
(
わか
)
って参りまする」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こうした俺たちの会話は、どこから
洩
(
も
)
れたか
判然
(
わか
)
らないが
忽
(
たちま
)
ち船の中へパッと拡がった。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そげな調子で、いつから喰い初めたか
判然
(
わか
)
りませんが、
鰒
(
ふく
)
では随分、無茶をやりました。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恥かしいのか、怖ろしいのか、又は悲しいのか、自分でも
判然
(
わか
)
らない感情のために、全身をチクチクと刺されるような気がして、耳から首筋のあたりが又もカッカと
火熱
(
ほて
)
って来た。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
顔のわからない夕方に出会った鳥打帽子のインバネス同志が右から左に、
無言
(
だんまり
)
で
現金
(
げんナマ
)
と引き換える……だから揚げられても相手の顔は
判然
(
わか
)
らん判然らんで突張り通したものですが
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
呼吸をしているのか、どうかすら
判然
(
わか
)
らない位
凝然
(
じっ
)
と静まり返っていた。初枝も
天鵞絨
(
びろうど
)
の夜具の
襟
(
えり
)
をソット引上げて、水々しい高島田の
髱
(
たぼ
)
を気にしいしい白い額と、青い眉を蔽うた。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ですから紳士の足跡は泥で
判然
(
わか
)
っても、女の足跡は残っていないのが当然なのです。支配人とボーイのは新しいからよくわかったのでしょう。……とにかくこの場は私に委せて頂きたい
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今日までその正体が
判然
(
わか
)
っておりませぬのに、
況
(
ま
)
して今から二十年も昔に
遡
(
さかのぼ
)
った……貴方がお生れになるか、ならない頃に、学術研究の論文として斯様な標題が選まれたのですからね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
方角も何も
判然
(
わか
)
らなくなってしまっても、まだザワザワと追いかけて来る音がする……と思ううちに思いもかけぬ横あいから、銃身を振り
翳
(
かざ
)
した
裸体
(
はだか
)
女が、ハヤテのように飛び出して来る。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
早い話が
昨日
(
きのう
)
だってこの
老爺
(
おやじ
)
は、タッタ一眼、顔を見合わせただけで、どこの馬の骨だか、牛の糞だか
判然
(
わか
)
らない……しかも悪タレ記者である事を名乗り上げている吾輩を見事手玉に取った上に
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
寝間着
(
パジャマ
)
を着た貴婦人に化けて寝台車に這入って、団長の化粧品箱の中から盗み出して、便所でレターペーパーを十枚程使って透き写しをしたのですから、とても
判然
(
わか
)
り
難
(
にく
)
いでしょうと思うんです。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平生
(
ふだん
)
から私の事をドウ考えているか
判然
(
わか
)
りませんでしたが、イヨイヨ押詰まった
師走
(
しわす
)
の二十日頃にこの男の処へ身の上相談に行きますと、相変らず
煤
(
すす
)
け返った
面
(
つら
)
で古道具の中に座っておりましたが
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今云う通り
経歴
(
すじみち
)
がヤヤコシイからサッパリ
判然
(
わか
)
っていないんだが、とにかく一当り当って
焦点
(
フオカス
)
を合わせてくれ、トランクの中味もまだ突止めていないが、近いうちに日支関係が緊張するのを見越して
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから奥の深い事情が一つも
判然
(
わか
)
らんけに困っとる。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“判然”の意味
《名詞》
判然(はんぜん)
はっきりとよくわかること。
《形容動詞》
はっきりとよくわかるさま。
(出典:Wiktionary)
判
常用漢字
小5
部首:⼑
7画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“判”で始まる語句
判
判明
判官
判断
判斷
判切
判事
判人
判別
判定