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すべ
ふりがな文庫
“
全
(
すべ
)” の例文
まるで、
泰西
(
たいせい
)
名画のみごとな版画をみているように、
湿
(
しめ
)
り気のない空気が、
全
(
すべ
)
てのものを明るく、
浮立
(
うきた
)
たせてみせてくれるのでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
北國の雪解の時分と來たら、
全
(
すべ
)
て眼に入るものに、
恰
(
まる
)
で永年牢屋にぶち込まれた囚人が、急に放たれて自由の體となツたといふ趣が見える。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
同時に、吉田機関手がこれまでの自分にしてくれた
全
(
すべ
)
てのことが、洪水のように彼女の胸を
目蒐
(
めが
)
けて押し寄せて来た。殊にも昨夜のことであった。
機関車
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼は自分の最も働き盛りの
殆
(
ほと
)
んど
全
(
すべ
)
ての歳月と精力とをその子供等の教育費や、それから娘たちの嫁入りの
仕度
(
したく
)
の為めに費さなければならなかつた。
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
ばらばらな音いろではあるが、静かにきいていると不思議に
全
(
すべ
)
てがつながれ合った一つの唱歌をつづり合してきこえた。昨日も今夜も、毎日それがつづくのである。
音楽時計
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
文学を
斯様
(
かよう
)
な風に類別するということからして好ましくないことであり、
全
(
すべ
)
ては同一の精神から出発するものには違いあるまいけれど——そして、それだから私は
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
五百パーセントの
闇値段
(
やみねだん
)
で集められた豪華な料理であって、これ
全
(
すべ
)
て、
遠来
(
えんらい
)
の金博士——いや
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこにこそ女性の野心が絶対の支配権を得ようとし、そこにこそ女性の
貪欲
(
どんよく
)
が隠れた財宝を探しもとめるのだ。女は愛情を危険にさらす。心の
全
(
すべ
)
てをかけて愛の貿易をする。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そこの木工漆器は
僧侶
(
そうりょ
)
たちの副業として名がある。しかし残念にも
全
(
すべ
)
ての期待ははずれた。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それはあなたの
全
(
すべ
)
てが普通の人のリズムと違っていて人に目立つからだ
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わが天使、わが
全
(
すべ
)
て、わが自己そのものである人よ
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ひつかゝりの
一
(
ひと
)
つは、現に彼の
眼前
(
めのまへ
)
に裸体になつてモデル臺に立つているお房だ。お房は、幾らかの
賃銭
(
ちんせん
)
で肉體の
全
(
すべ
)
てを
示
(
み
)
せてゐるやうな
賤
(
いや
)
しい
女
(
をんな
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
どうしても
可笑
(
おか
)
しくなるじゃないか、いったい、どうすればいいのだ……という気持になり、鬼瓦を見て泣くというこの事実が、突き放されたあとの心の
全
(
すべ
)
てのものを
攫
(
さら
)
いとって
文学のふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
成程
(
なるほど
)
、
一日
(
いちにち
)
の苦
闘
(
とう
)
に
疲
(
つか
)
れて
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
ツて來る、
其處
(
そこ
)
には
笑顏
(
ゑがほ
)
で
迎
(
むか
)
へる
妻子
(
さいし
)
がある、
終日
(
しうじつ
)
の
辛勞
(
しんらう
)
は
一杯
(
いつぱい
)
の
酒
(
さけ
)
の
爲
(
ため
)
に、
陶然
(
たうぜん
)
として
酔
(
え
)
ツて、
全
(
すべ
)
て人生の
痛苦
(
つうく
)
を
忘
(
わす
)
れて了ふ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この黒幕の策師たちが
全
(
すべ
)
て切支丹かどうかもハッキリしないが、切支丹であっても
安吾史譚:01 天草四郎
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いわば自分の行為を
全
(
すべ
)
て当然として肯定し、同様に他人のものをも肯定し、もって他人にも自分の姿をそのまま肯定せしめようとする、肯定という巧みな約束を暗に強いることによって
枯淡の風格を排す
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
曰
(
いわ
)
く、天下唯一の別格の子、太陽の子、そして地上の
全
(
すべ
)
ての主人、生きた神様、である。三代の女帝の必死の作業は、中央政府の確立とともに、生きた太陽の子をつくることにもそそがれた。
安吾史譚:02 道鏡童子
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
全
常用漢字
小3
部首:⼊
6画
“全”を含む語句
全然
全体
完全
健全
全快
全身
全速力
全部
全體
全濡
大英百科全書
安全
全力
全裸
全治
安全弁
全々
全貌
全豹
全焼
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