-
トップ
>
-
乘
>
-
め
先へ
行きても
有るか
無きか
知れませねば
何にてもよし
此の
車お
頼みなされてよと
俄に
足元重げになりぬあの
此樣な
車にお
乘しなさるとかあの
此樣な
車にと
二度三度お
高輕く
點頭きて
詞なし
我れも
雪中の
隨行難儀の
折とて
求むるまゝに
言附くる
那の
車さりとては
不似合なり
錦の
上着につゞれの
袴つぎ
合したやうなと
心を
づかしや
女子の
身不似合の
菓もの
賣りも
一重に
活計の
爲のみならず
便りもがな
尋ねたやの一
心なりしが
縁しあやしく
引く
方ありて
不圖呼び
入れられし
黒塗塀お
勝手もとに
商ひせし
時後にて
聞けば
御稽古がへりとや
孃さまの
乘したる
車勢ひよく
御門内へ
引入るゝとて
出でんとする
我と
行違ひしが
何に
觸れけん
我がさしたる
櫛車の
前には