中間ちうげん)” の例文
引込ひつこませる、とみづのでばなとふのでも、おくみはさすがに武家ぶけ女房にようばう中間ちうげんはだいたものを無理むりようとはしなかつた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
振り返ると段の中程のところに立つて、不精らしく懷手をしたまゝ、つと娘の樣子を見て居るのは、渡り中間ちうげんらしい樣子をした中年男です。
中間ちうげん七助と云ふ者先刻せんこくより此樣子を見てこゝろ可笑をかしく走り出で主人をとゞ先々まづ/\御待下おんまちくださるべし只今彼方にて承まはりしが御立腹ごりつぷく御道理ごもつともなり然しながら女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつといまでこそあれ、時分じぶん中間ちうげんが、かほ仙女香せんぢよかうらうとはたれおもひがけないから、うとつたものはない。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何時の間にやら、新三郎の後、平次の横手に立つてゐたのは、二十七八の小氣のきいた渡り中間ちうげん風の男です。
めされ城富を呼寄せ療治れうぢ致させたきよし申されければ新左衞門はかしこまりて次へ下り早々手紙てがみを認めて中間ちうげんに持せ遣しける斯くて使ひの者は長谷川町なる城富のたくゆき状箱じやうばこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「女ぢや御座いません、男の方で——その御武家のお供をして來た、渡り中間ちうげん風の若い男で御座いました」
さていはひ中間ちうげんども一座いちざ酒宴しゆえん成程なるほど千助せんすけ仕組しくんだとほり、いづれも持寄もちよりで、國々くに/″\はなしをはじめた。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かけたるならんと申されしかば粂之進くめのしんグツとさしつかへしがナニ不義ふぎなど申かけたるおぼかつて之なしと云に大岡殿おほをかどの牛込改代町かいたいまちもの呼出せと申されしかばはつこたへて彼の中間ちうげんすけ白洲しらす連來つれきたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
するとその後から一人の中間ちうげん者が來て、赤ん坊をすつかりいだ上、自分の赤合羽一枚だけ着せて雪の上に投り出し、紋服も守り袋も持つて行かうとするから
「御主人が封印を遊ばして、いざ私の封印といふ時、中間ちうげん部屋で大喧嘩が始まつた、——賭事かけごとの爭ひらしかつたが、私が行つて止めると、顏を見ただけでピタリと納まつた」
愛妾あいせふのお町、中間ちうげんの勝造、それに庭掃除の親爺三吉をお燗番に、藝妓大小三人、幇間ほうかん一人を伴れて、晝から漕ぎ出させ、水神まで一と往復した上、夕景から三圍の前に着けさせて
中間ちうげん小者こものの間に、大した評判になつて居る娘だつたのです。