“やぐら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤグラ
語句割合
90.7%
矢倉3.4%
望楼1.0%
楼櫓1.0%
城樓0.5%
城砦0.5%
家蔵0.5%
屋蔵0.5%
戦楼0.5%
0.5%
瓔珞0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この炬燵こたつやぐらぐらいの高さの風呂にはいってこの質素な寝台の上に寝て四十年間やかましい小言こごとを吐き続けに吐いた顔はこれだなと思う。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
抱卵した鰍は、流れの強い底石の、それが矢倉やぐらに組んである石の天井を捜して、卵を産みつけるのである。
鰍の卵について (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
望楼やぐらの上に終夜立っている見張の者が、あわただしく駆け降りて来て
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康が濃州のうしゅう金山かなやまの城主森忠政もりただまさを信州川中島に転封てんぽうしたおり、その天守閣と楼櫓やぐらとを時の犬山城主石川光吉に与えた、それをあくる年の五月に木曾川をくだしてこの犬山に運び
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
このほかなほいへることありしも我おぼえず、これわが目はわが全心を頂もゆる高き城樓やぐらにひきよせたればなり 三四—三六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
續いて語るらく、高き城樓やぐらもとを距るなほいと遠き時、我等は目をその頂に注げり 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ようやく三重目の城砦やぐらへ帰り着き、不思議な入口から廊下へ出、鳳凰の間へはいった時まで幸いに誰にも見咎みとがめられなかった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中庭を囲繞いにょうして三つの城砦やぐらが立っていたが、三つとも巨大な角窓を中庭の方へ向けている。そして番兵が立っている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ほかにも地所やら家蔵やぐらやら数多くあるのだが、それらはもちろん、わたしにあずけて利まわりを取ってきた金も、至急に用が出来しゅったいしたから、是が非でも、耳をそろえて出せというのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
出様来でやうきやものや、伊祖いぞ大主おほぬし御万人おまんちようち頭取かしらどりちゆる者どやゆる、お万人のまぢりだに聞留ききとめれ、ムルチてる池に大蛇おほぢやとて、かぜらぬ、あめらぬ、屋蔵やぐらふきくづち、はる物作もづくり
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
それは将しく軍船いくさぶねであった。二本の帆柱、船首へさき戦楼やぐら矢狭間が諸所に設けられている。
鵞湖仙人 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
玄関は向側むかうがわにあって細長い島の庭を見下みおろしている、二人の訪問者は低いやぐらの下に、ほとんど家の三方を縁どっている小径こみちについて廻って行ったのである。
そこには躑躅つつじが咲き残り、皐月さつきが咲き、胸毛の白い小鳥は嫩葉わかばの陰でさえずっていた。そして、松や楢にからまりついた藤は枝から枝へつるを張って、それからは天神てんじん瓔珞やぐらのような花房はなぶさを垂れていた。
藤の瓔珞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
北条の腹切りやぐらの石塔を、今のうちに撮影しておかうなどと、殊勝な心掛をおこした。これが第三にをかしい。おまけにまた……いや、順を追つて話すとしよう。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)