“こもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
小者59.6%
使僕9.6%
小厮7.7%
小廝3.8%
使童1.9%
下僕1.9%
1.9%
厠卒1.9%
小介1.9%
小僕1.9%
小兵1.9%
小臣1.9%
1.9%
薦野1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
平山はきのふあけ七つどきに、小者こもの多助たすけ雇人やとひにん弥助やすけを連れて大阪を立つた。そしてのち十二日目の二月二十九日に、江戸の矢部がやしきに着いた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
余り見事な格闘振りに弓之進や北山を初めとし弟子若党使僕こものまでただ茫然と眺めていたがこの時バラバラと駈け寄った。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すると大いに驚いた顔をして「何しろ内へお入り下さい」といい、もう日暮ひぐれでもございましたから店の小厮こものに店を仕舞しまうように吩付いいつけて家へ入った。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
まる一丁字いつていじもない小廝こものやう丁寧ていねいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もっとも拙者の主人事は、世に有名な隠士いんしでござって、名前を明かさばお手前においても必ずご存じとは存じ申すが、拙者はほんのそのお方の走り使いのいわば使童こもの
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「オッ」と奥から返辞があって、使童こものの加藤次は縄で縛った三人の遊女を引き出した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
藪原長者は棍棒こんぼうひっさげ、若党下僕こものを無数に連れて、荒れた虎のようにわめきながら、館の内外を探し廻わった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小作をしぼこものを酷使し、辛苦かえりみざる段不届き至極、しかも今回憤起の百姓、ご領主へ嘆願に赴く途次、汝の屋敷へ立ち寄りしところ、ねぎらわんとはせず無頼漢を集め、武器をもって攻撃したる段
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
花を墓に、墓に口を接吻くちづけして、きわれを、ひたふるに嘆きたる女王は、浴湯をこそと召す。ゆあみしたるのち夕餉ゆうげをこそと召す。この時いやしき厠卒こものありて小さきかご無花果いちじくを盛りて参らす。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある日こと小介こものをして大きなる新調の引幕ひきまくを持ち来らしめ、こは自分が自由民権の大義を講演する時に限りて用うべき幕なれば、何とぞわが敬慕する尊姉そんしの名を記入されたく
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
... 佐渡か沖の島か遠い所へ、こいつも小僕こものとして売ってやる。……さあお前達!」と云いながら、手下の人買を見廻したが、「こいつら二人を引っ担いで行け!」
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けれどもそれは小競合こぜりあいの競争であって小兵こものの戦争であって、匹夫ひっぷあらそいというものである。
今世風の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
早速、密書をしたためて、それを自分の小臣こものに持たせて、ひそかに、小沛しょうはいの県城へ走らせた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さればとよよくききね、われ元より御身たちと、今宵此処にて邂逅めぐりあはんとは、夢にだも知らざりしが。今日しも主家のこものかれて、このあたりなる市場へ、塩鮭干鰯ほしか米なんどを、車につみて運び来りしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
即ち蘭軒の外舅ぐわいきうである。家は杏庵が襲いだ。伊勢国薦野こものの人、黒沢退蔵の子で、休庵の長女の婿となつた。蘭軒の妻益は休庵の二女であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)