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ちゃぶだい
ふりがな文庫
“
餉台
(
ちゃぶだい
)” の例文
そして掃除がすむと神棚へ切り火をあげて、お庄と一緒に
餉台
(
ちゃぶだい
)
に向いながら、これまでに自分の苦労して来た話などをして聴かした。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夕飯は、茶の間の涼しい
広縁
(
ひろえん
)
で、大勢と一緒だった。
漆塗
(
うるしぬり
)
の
餉台
(
ちゃぶだい
)
が馬鹿に広くて、鏡のように光っているのが、先ず次郎の眼についた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
階下へ降りてみると、門を開放った往来から見通しのその一間で、
岩畳
(
がんじょう
)
にできた大きな
餉台
(
ちゃぶだい
)
のような物を囲んで、三四人飯を食っていた。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
まるきり
颱風
(
たいふう
)
が一過したに外ならなかった。散乱している
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上を眺め、彦太郎はしばらく
茫然
(
ぼうぜん
)
として、なんのことやらわからなかった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
餉台
(
ちゃぶだい
)
は奥の間へ持って行かれたし、母が先生の
傍
(
そば
)
へつききりなので彼は台所の畳の上で
独人
(
ひとり
)
あてがわれた
冷
(
ひ
)
やっこい方の御飯をよそって食べ始めた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
やっぱり柳沢の方に向ってそういいながら
餉台
(
ちゃぶだい
)
を
挟
(
はさ
)
んで柳沢と向い合って座った。そしてその横手に黙って坐っている私の方をチラリと振り向きながら
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
女は
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上に飲みかけの茶をこぼし、その水を人さし指の先につけてあやしく Virginis と書いた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上に
両肱
(
りょうひじ
)
を突いた叔父が
酔後
(
すいご
)
の
欠
(
あくび
)
を続けざまに二つした。叔母が下女を呼んで
残物
(
ざんぶつ
)
を勝手へ運ばした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
簡単な私たちらしい
餉台
(
ちゃぶだい
)
。そこのこっちに坐って御飯たべていらっしゃるの。こっちに坐って見ているの。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
……釣舟にしておきましょう、その舟のね、表二階の方へ
餉台
(
ちゃぶだい
)
を繋いで、大勢で
飲酒
(
のみ
)
ながら遊んでいたんですが、景色は何とも言えないけれど、暑いでしょう。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨夜おそく仕事から帰ってきて、僕が茶の間の
餉台
(
ちゃぶだい
)
の前へ
胡座
(
あぐら
)
をかいていると、女房が片口を持って玄関の方へ出て行った。すると、ややあって、ゴクという音がするのだ。
濁酒を恋う
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
左手は疊を敷いた室で、薄汚れのした絨緞の上に
餉台
(
ちゃぶだい
)
が一つ置いてあった。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「おい、そっちに
餉台
(
ちゃぶだい
)
をだしな」
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
晩飯には、青豆などの煮たのが、丼に盛られて
餉台
(
ちゃぶだい
)
のうえに置かれ、
几帳面
(
きちょうめん
)
に掃除されたランプの
灯
(
ひ
)
も、不断より明るいように思われた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
二人のいる四畳半には、小さな
餉台
(
ちゃぶだい
)
が一つ置いてあるきり、仲居も、簡単な酒肴を運ぶと、気をきかせて、後はよりつかない。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
と、いいながら、私は、久しぶりで口に馴れたお前の手で
漬
(
つ
)
けた
茄子
(
なす
)
と
生瓜
(
きゅうり
)
の新漬で
朝涼
(
あさすず
)
の風に吹かれつつ以前のとおりに
餉台
(
ちゃぶだい
)
に向い合って箸を取った。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
沈んだような、また安堵もした顔つきで、お茂登は広治のために布巾をかけておいた
餉台
(
ちゃぶだい
)
の横に坐った。
その年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
女はこういって、
琥珀
(
こはく
)
と
群青石
(
ぐんじょうせき
)
の指輪を一つずつはめた両手を
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上に並べて見せた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
彼は八畳の座敷の真中に小さな
餉台
(
ちゃぶだい
)
を据えてその上で朝から夕方までノートを書いた。丁度極暑の頃だったので、
身体
(
からだ
)
の強くない彼は、よく
仰向
(
あおむけ
)
になってばたりと畳の上に倒れた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
庄吉は
一人
(
ひとり
)
で
食
(
く
)
いちらされた
餉台
(
ちゃぶだい
)
に向った。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「ここの家では何ができるんだね。」と、笹村は
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上におかれた板を取りあげながら、
身装
(
みなり
)
のこざっぱりした二十四、五の女中に
訊
(
たず
)
ねた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
部屋は四畳半のこぢんまりした部屋で、床の間もあり、
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上には既に酒肴の支度が整えられてあった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「おおきにお待ちどおさん」と、いいつつ
餉台
(
ちゃぶだい
)
のうえに取って並べられる料理の数々。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
餉台
(
ちゃぶだい
)
で飯をくって育つのが安心也。
日記:27 一九四四年(昭和十九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
餉台
(
ちゃぶだい
)
におかれたランプの
灯影
(
ひかげ
)
に、薄い
下唇
(
したくちびる
)
を
噛
(
か
)
んで、考え深い目を
見据
(
みす
)
えている女の、
輪廓
(
りんかく
)
の正しい顔が蒼白く見られた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は大きな
餉台
(
ちゃぶだい
)
にほかの
売女
(
おんな
)
どもと一緒に並んで
御飯
(
めし
)
を食べたりなどしていた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そしてそれが出て行くとそこらを片着け多勢の手で夕飯の
餉台
(
ちゃぶだい
)
とともにお
櫃
(
はち
)
や
皿小鉢
(
さらこばち
)
がこてこて並べられ、べちゃくちゃ
囀
(
さえず
)
りながら食事が始まった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「皆さんも、今のうち何か食べておおきなすって……。」母親はそこらを片寄せて、
餉台
(
ちゃぶだい
)
の上へ食べ物を持ち運んだ。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
晩飯の
餉台
(
ちゃぶだい
)
の側で、静子を
揶揄
(
からか
)
いながら、賑やかな笑い声を立てていたが、気の引けるお今は長く
居昵
(
いなじ
)
んだ、そこへ顔を出すさえきまりが悪そうであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お増は髪を
丸髷
(
まるまげ
)
などに結って、台所で酒の支度をした。二人で広小路で買って来た
餉台
(
ちゃぶだい
)
のうえには、男の好きな
鱲
(
からすみ
)
や、
鯛煎餅
(
たいせんべい
)
の
炙
(
あぶ
)
ったのなどがならべられた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鶴二も正雄も、もう朝飯の支度の出来た
餉台
(
ちゃぶだい
)
の側に新聞を拡げて、叔母の起きて出るのを待っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ある晩方銀子は婦人公論を、
膝
(
ひざ
)
に載せたまま、
餉台
(
ちゃぶだい
)
に突っ伏して、ぐっすり眠っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お島は何もない
餉台
(
ちゃぶだい
)
の前に坐っている父親の傍へ来て、やっぱり顔を顰めていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これまでに味わったことのない
新漬
(
しんづ
)
けや、かなり複雑な味の煮物などがいつも
餉台
(
ちゃぶだい
)
のうえに絶えなかった。長いあいだ情味に
渇
(
かわ
)
いた生活を続けて来た笹村には、それがその日その日の
色彩
(
いろどり
)
でもあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
餉
漢検1級
部首:⾷
15画
台
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“餉”で始まる語句
餉
餉参
餉沢
餉道