飯炊めしたき)” の例文
眞實まことと思ひ終に吾助の言葉の如く二兩の金をもち宿やどへ下りたり然るに惡事千里のことわざの如く早晩いつしか吾助がお兼と言合せ飯炊めしたきの宅兵衞より金五兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
番「何じゃ、おのれが出る幕じゃアない、汝は飯炊めしたきだから台所に引込ひっこんで、飯のこげぬように気を附けてれ、此様こないな事に口出しをせぬでもいわ」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども、對手あひて守子もりつこ飯炊めしたきでない、ひともこそあれ一大事いちだいじだ、とおもふから、のちとてもみなくちをつぐんでなんにもはず無事ぶじにしばらくつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夜明よあけまで書を読んで居て、台所の方で塾の飯炊めしたきがコト/\飯を仕度したくをする音が聞えると、それを相図あいずに又寝る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「チエツ、雁字がんじがらめにされて、納戸なんどに投り込まれて居たんですぜ。あんな恐ろしい女護ヶ島つてあるわけのもんぢやねえ、あの肥つちよの飯炊めしたきがまた恐ろしい力で」
そのそば飯炊めしたきの長助がむずかしい顔をして、黙って突っ立っていた。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
爺いさんは綺麗きれいな家に這入った嬉しさに、田舎出の女中には、水汲みずくみ飯炊めしたきだけさせて、自分で片附けたり、掃除をしたりして、ちょいちょい足らぬ物のあるのを思い出しては、女中を仲町へ走らせて
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
寺男が、くりやの口をのぞいていった。飯炊めしたきだのお小僧は
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
入用いらざ雑用ぞうようを省くと唱え、八蔵といえる悪僕一人を留め置きて、その余の奴僕ぬぼくことごとく暇を取らせ、素性も知れざる一人の老婆を、飯炊めしたきとして雇い入れつ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
よし連れて行てろう。連れて行くが、君はめしかなければならぬがよろしいか。江戸へ行けば米もあれば長屋もある。鍋釜なべかまも貸して呉れるが、本当の家来をめにすれば飯炊めしたきがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
頼母たのもしいのと、當人たうにん自慢じまん生白なまじろところへ、足駄あしだをひつくりかへしたのは、門内もんない團右衞門だんゑもんとは隣合となりあはせの當家たうけ家老からう山田宇兵衞やまだうへゑ召使めしつかひの、葛西かさい飯炊めしたき
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかれども懸賞して細民をにぎわすにしかずと、一片の慈悲心に因りて事ここに及べるなり、と飯炊めしたきに雇われたる束髪の老婦人、人にむかいて喋々その顛末てんまつを説けり。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頼母たのもしいのと當人たうにん自慢じまんだけの生白なまじろところへ、足駄あしだをひつくりかへしたのは、門内もんない團右衞門だんゑもんとは隣合となりあはせの當家たうけ家老からう山田宇兵衞やまだうへゑ召仕めしつかへの、まはり葛西かさい飯炊めしたき
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)