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静
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じつ
雲の
動く
時、
二人の
形は
大きく
成つた。
静とする
時、
渠等の
姿は
小さく
成つた。——
飛騨の
山の
此のあたりは、
土地が
呼吸をするのかも
分らぬ。
と
密と
揺ぶる、
手に
従つて
揺ぶれるのが、
死んだ
魚の
鰭を
摘んで、
水を
動かすと
同じ
工合で、
此方が
留めれば
静と
成つて、
浮きも
沈みもしない
風。
其の
術で
行かねば、
業を
変へて、
何処とも
知らず、
真夜中にアハヽアハヽ
笑ひをる、
吃驚すると
鮒が
消える、——
此方も
自棄腹の
胴を
極めて、
少々脇の
下を
擽られても、
堪へて
静として
畚を
守れば