附添つきそひ)” の例文
夜半よなかに眼を覺すと、時々東のはづれで、附添つきそひのものが氷をくだく音がした。其の音がむと同時に病人は死んだ。自分は日記に書き込んだ。
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一同出立には及びたり其行列ぎやうれつには第一番の油箪ゆたんかけし長持十三さを何れも宰領さいりやう二人づつ附添つきそひその跡より萠黄もえぎ純子どんすの油箪白くあふひの御もんを染出せしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この發見に就いて私が考へてゐるうちに、小さな少女が附添つきそひに從はれて芝生しばふをこつちへ走つて來た。私は、最初は私に氣がつかないでゐたらしい私の生徒に、目をとめた。
ふつさりとむすんでさげたその姫樣ひいさまおびくはへたり、くちをなめたりして、落着おちついたふうでじやれてゐるのを、附添つきそひが、つとつけて、びツくりして、しつ! といつてひやつた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日けふようなしのなればとてあに終日しゆうじつ此處こゝにありけり、こほり取寄とりよせて雪子ゆきこつむりひや附添つきそひ女子をなごかはりて、どれすこわしがやつてやうと無骨ぶこつらしくいだすに、おそいります
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それが一週間の後窒扶斯ちふすと判明したので、すぐ大学病院へ入れた。三千代は看護のため附添つきそひとして一所に病院に移つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
駕籠かごのせ忠兵衞は附添つきそひ原澤村へと急ぎ立歸りしに母のおもせは如何いかなる者を連來やと日々にち/\案じ居ける所へ皆々歸り來りければ早速忠兵衞を招きて樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
召捕べしと役人へ申付られけり却てとくの吉三郎は母のやまひ二三日べつして樣子あしければそばはなれず附添つきそひ種々しゆ/″\心配しんぱいなして勞はり居しが母は暫時しばし睡眠まどろみし中醫師の方へくすりを取に行んと立出る所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)