金属きんぞく)” の例文
旧字:金屬
神楽坂へかゝると、ある商店で大きな蓄音器を吹かしてゐた。其音そのおとが甚しく金属きんぞく性の刺激を帯びてゐて、大いに代助のあたまこたへた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宝石商ほうせきしょうは、今日きょうはここのみなと明日あすは、かしこのまちというふうにあるきまわって、そのまちいしや、かいや、金属きんぞくなどをあきなっているみせっては
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きらりとひか金属きんぞくのもとに、黒髪くろかみうつくしい襟足えりあしががっくりとまへにうちのめつた。血汐ちしほのしたヽる生首なまくびをひっさげた山賊さんぞくは、くろくちをゆがめてから/\からと打笑うちわらつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
だい二の容疑者ようぎしゃは、金属きんぞくメッキ工場こうじょう技師ぎしけん重役じゅうやくであり、中内忠なかうちただしという工学士こうがくしだつたが、この人物じんぶつは、刈谷老人かりやろうじん高利こうりかねりていて、かなりくるしめられていたはずである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
なまりいろにすこしのすきまもなく、りつめたこおりは、金属きんぞくのようなおとをたてて、いしは、どこまでも、どこまでもうなりながら、ころがってゆきました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おなじ、金属きんぞくつくられたであろうに、どうして、この一つだけが、くさらなかったのでしょう。」と、役場やくば書記しょきは、学者がくしゃにむかってたずねました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわいらしいくちもと、しろいきれいな、そして、二つのうつくしいひかりは、大事だいじにしているあの金属きんぞくからはなひかりよりも、もっとやさしいうるおいのあるものでありました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、かれらはまだ、こんなにぴかぴかひか金属きんぞくたことがなかったのであります。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この金属きんぞくを、分析ぶんせきしてみなければ、わからぬことだ。おなじ金属きんぞくでつくったものなら、この一つだけが、くさらぬというわけがあるまい。」と、博士はかせは、科学者かがくしゃなら、空想くうそう事実じじつとして
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしいくら、しっかりとつかまっていても、バケツのふちまるく、それに金属きんぞくでつめのちようがなかったから、ねずみは、あしをすべらすと同時どうじまえのめりになって、みずなかちてしまいました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)