重寶ちようはう)” の例文
新字:重宝
主人しゆじんあやかりたいもとに、甘垂あまたるい金玉糖きんぎよくたう幾切いくきれ頬張ほゝばつた。これはさけみ、ちやみ、めし菓子くわしへるやう出來できた、重寶ちようはう健康けんかうをとこであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「今はこんなものを道中に持ち歩く人もないだらうが、鐵砲の行渡らぬ頃は、重寶ちようはうな品だつたに違ひない」
バスケツトともはず外套ぐわいたうにあたゝめたのを取出とりだして、所帶持しよたいもちくるしくつてもこゝらが重寶ちようはうの、おかゝのでんぶのふたものをけて、さあ、るぞ! トンネルの暗闇やみ彗星はうきぼしでもろと
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
得しとて彼方此方かなたこなた重寶ちようはうがられ其後味岡の手引てびきにて所々方々と出入もふえたりしが味岡は大岡殿と内縁ないえんあれば或日味岡勇右衞門は大岡殿へ出でし所越前守殿顏色かほいろよろしからず持病の癪氣しやくきの由申されければ勇右衞門しからばそれには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは印氣インキたすけをらないで、鮮明せんめい印刷物いんさつぶつこしらえるとかふ、一寸ちよつとくとすこぶ重寶ちようはう器械きかいついてであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは二十七八の好い男で、出ししやくれた生白い顏も、男にしてはニヤケ過ぎますが、その代りお世辭がよくて、商賣上手で、佐渡屋の先代から重寶ちようはうがられた存在です。
なんでも石油せきゆいて、それでふね自由じいうにする器械きかいなんださうですが、いてると餘程よつぽど重寶ちようはうなものらしいんですよ。それさへければ、ふね手間てままるはぶけるとかでね。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)