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迂愚
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うぐ
ふりがな文庫
“
迂愚
(
うぐ
)” の例文
かえって大人もまたこの例に
洩
(
も
)
れぬ
迂愚
(
うぐ
)
なものだという事を証明したいと思ってちょっと分りやすい小児を例に用いたのであります。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かれは元来、理性にとみ、部下の意地にのって、伝来の財、田地、官職——まちがえば生命までを
賭
(
か
)
けるような
迂愚
(
うぐ
)
ではなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相変らず
迂愚
(
うぐ
)
な、のほほん顔をしているのを見て、いたたままらぬ
技癢
(
ぎよう
)
でも感ずるのであろうか、さかんに私たちの生活態度をののしるのだ。
佳日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
女偊
(
じょう
)
氏は一見きわめて平凡な
仙人
(
せんにん
)
で、むしろ
迂愚
(
うぐ
)
とさえ見えた。悟浄が来ても別に
渠
(
かれ
)
を使うでもなく、教えるでもなかった。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その間に私の友人達は、私の
迂愚
(
うぐ
)
と偏見を憐んで、名ある大西洋料理屋の、有名なライス・カレーを食わせてくれました。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
今ごろ要求するのは、われわれの
迂愚
(
うぐ
)
であり、同時に万寿丸の恥辱でしょう。しかし、それは、われわれにとっては、全く切実な問題なのです。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
それにも
拘
(
かか
)
わらず泣き言を並べたり悲観したりして、成功の出来ないのを他人の罪のように思っているものの
迂愚
(
うぐ
)
は憐れむべしと言わねばならぬ。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
芸術に関して永遠性というようなことを口にするのがそもそも
迂愚
(
うぐ
)
であり、荒唐の言を
弄
(
ろう
)
するに
外
(
ほか
)
ならないではないか。
永遠の感覚
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
現代が科学の時代である事だけを知って、我々の愛国精神の影に古来の日本的宗教が脈々と現代に生きていることを知らないのは、
迂愚
(
うぐ
)
もまた、
甚
(
はなはだ
)
しい論である。
現代と浄土宗
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
そして力に余る困難に
挑
(
いど
)
むことそれ自体が赤蛙の目的意志ででもあるかに考へてゐるやうな、私の
迂愚
(
うぐ
)
を
嗤
(
わら
)
ふであらう。私はしかし必ずさうだといふのではない。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
『ネチュアー』の記者はこれについて大いに当局の
迂愚
(
うぐ
)
を攻撃しているのは
尤
(
もっと
)
もな事である。
戦争と気象学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
T署の刑事を予算超過に増員しても追付かぬ
殷盛
(
はんじょう
)
に、不景気挽回策
如何
(
いかん
)
なんて論説を書く経済学者、財政記者の
迂愚
(
うぐ
)
を
嗤
(
わら
)
うかの如きM百貨店、双方恨みなしに屋上投身のありし通り
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
自分の嫌いな男にぴたっと眼を合すことは
迂愚
(
うぐ
)
の沙汰だろうか、五米前あたりから私は瞬きのない眼を向け、その男も負けるものかというぎょろりとした例の眼つきを私にあびせかけた。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「この文章はふざけて書いたものじゃない、文章というやつはなかなかごまかせるものじゃないよ、——しかし、これだけ想われていて、相手の見当がつかないというのは
迂愚
(
うぐ
)
なるもんだね」
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
故人と彼とは同じ新聞社の
編輯局
(
へんしゅうきょく
)
に可なり久しく居たのであったが、故人は才華発越、筆をとれば
斬新警抜
(
ざんしんけいばつ
)
、話をすれば談論火花を散らすに引易え、彼はわれながらもどかしくてたまらぬ程の
迂愚
(
うぐ
)
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ということになるのであったが——現地の事情に通ぜぬ委員たちが、ただ地図の上へ盲滅法に線を引いただけの
迂愚
(
うぐ
)
を笑いつつ、自分たちの一年有半労苦の結晶たる測量図の整理を急いでいた頃には
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
思えば自分はどう考えても
迂愚
(
うぐ
)
であった。
大雨の前日
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と、ここで初めて黒い連中は、自分たちの反問が
迂愚
(
うぐ
)
というよりは、てんで、お門違いであったことに気がついて黙りこみました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アレほど噛んで含めるようにいってあるのに、何をぐずついてこんな所に、有村の目に触れるのを待っていたのだ!
迂愚
(
うぐ
)
め!
鈍智
(
どんち
)
!
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自己の
迂愚
(
うぐ
)
をののしり、今さらその憤怨を歯ぎしりして怒り歎くといえど、なんでこの汚辱がぬぐわれましょうか
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
代々この地方に住んではいるが、祖先は
金枝玉葉
(
きんしぎょくよう
)
の出であり、
宋
(
そう
)
の
太祖
(
たいそ
)
の
丹書鉄券
(
おすみつき
)
も家に伝えられている。——「ご存知ないか?」その
迂愚
(
うぐ
)
を
嘲
(
あざけ
)
ったのである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
公卿か
富裕
(
ふゆう
)
の物持かに、身をまかせてしまったと聞き、この苛烈な戦争中だが、
業腹
(
ごうはら
)
が
煮
(
に
)
えてたまらず、女の
許
(
もと
)
へ、つらあてのような、忘れかねるような、男の
迂愚
(
うぐ
)
を
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
坊主枕を、投げつけて、自分の
迂愚
(
うぐ
)
を
嗤
(
わら
)
ったが、その怒りが、すぐ
欣
(
よろこ
)
びの
動悸
(
どうき
)
になって
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで、将門の
迂愚
(
うぐ
)
を、皆が、酒のさかなにして、飲んでいるような光景であった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常識から判断しても、孔明たる者が、そんな
迂愚
(
うぐ
)
な戦法は取るまいというのである。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「くさすなくさすな。あれが人間の弱さじゃろ。——ひと事とせず、心得ておらねばならぬ。人もひとたび、心まで落ちぶれると、
味気
(
あじけ
)
ない
迂愚
(
うぐ
)
と
堕落
(
だらく
)
を、
恬
(
てん
)
として
辿
(
たど
)
るものではある」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今生
(
こんじょう
)
、あくまで生を一つにし、この
迂愚
(
うぐ
)
な正成について、このどたん場まで、共に
志
(
こころざし
)
をかえず、最後まで悲風のみな菊水旗の下を去らずにいてくれたこと、なんといってよいか、正成にはいま
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目睫
(
もくしょう
)
の大決戦期に、敵前これを実施するのは無謀とも大胆ともいえる。もし
間隙
(
かんげき
)
に
敗
(
やぶ
)
れんか、敗因の罪は一に敵前土木の工などに、かかずらっていた
迂愚
(
うぐ
)
にありと、世に
嘲
(
わら
)
わるるは
必定
(
ひつじょう
)
である。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『川上
耄碌
(
もうろく
)
、田崎
迂愚
(
うぐ
)
、
彼奴
(
きゃつ
)
ら口だけだ。両頭たのむに足らず』
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「しからば、
迂愚
(
うぐ
)
なる信長に、全軍みな、
生命
(
いのち
)
をもくるるか」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ええ、ばかな」彼は、自分の
迂愚
(
うぐ
)
を
罵
(
ののし
)
って
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
迂
漢検準1級
部首:⾡
7画
愚
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“迂愚”で始まる語句
迂愚者