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躄
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いざり
ふりがな文庫
“
躄
(
いざり
)” の例文
二部興行で、昼の部は
忠信
(
ただのぶ
)
の
道行
(
みちゆき
)
、
躄
(
いざり
)
の仇討、
鳥辺山
(
とりべやま
)
心中、夜の部は
信長記
(
しんちょうき
)
、
浪華
(
なにわ
)
の
春雨
(
はるさめ
)
、
双面
(
ふたおもて
)
という番組も大きく貼り出してある。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また、妙なかっこうをしている奴、木を背負って坐っている、泥棒か、
躄
(
いざり
)
か、なんだろうかと不審を起して、吠えかかっているのかも分らない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口も利かずに黙って腰かけているお島は、ふと女坂を
攀登
(
よじのぼ
)
って、石段の上の平地へ醜い姿を現す一人の
天刑病
(
てんけいびょう
)
らしい
躄
(
いざり
)
の乞食が目についたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
どうせ、絵に描いた相馬の
化城
(
ばけじろ
)
古御所から、ばけ牛が
曳
(
ひ
)
いて出ようというぼろ車、
日中
(
ひなか
)
は
躄
(
いざり
)
だって乗りやしません。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
躄
(
いざり
)
なる彼は、好んで馬を急速に駆けさした。抜剣のうちに
護
(
まも
)
られて、落ち着いたいかめしい顔をして通っていった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
斯
(
か
)
く申す吾輩、キチガイ博士にとっては、
躄
(
いざり
)
の乞食が駈け出した位にしか感じない程度の新発見に過ぎないのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一人の狂女が来ったのに四郎
肯
(
うなず
)
くと忽ちに正気に還ったとか、またある時には、道場に来て四郎を
罵
(
ののし
)
る者があったが、其場に
唖
(
おし
)
となり
躄
(
いざり
)
となった、などと云う。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それから蒲原氏は
躄
(
いざり
)
のやうに動きだしたが、幾度となく山径の上へへばりついて休憩しながら、一里足らずの山径を、漸く温泉へ辿りつくことができたのだつた。
逃げたい心
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
やはり二十歳ばかりの若い娘ではあったが、見るもあわれな
佝僂
(
せむし
)
で、あとでアリョーシャの聞いたところによると、両足が
萎
(
な
)
えてしまった
躄
(
いざり
)
だとのことであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そして
其
(
そ
)
の前には、それから三四間程の間をおいて、一人の勢子らしい男が、側に銃をほうり出し、両手を後につき、足を前方に出したまま
躄
(
いざり
)
のような恰好で倒れて
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今でも何かしようと思う積極的の人は
晩蒔
(
おそまき
)
ながら京阪へ出て行きますから、自然春日様の
棟木
(
むなぎ
)
で奈良人形を刻んだりする
躄
(
いざり
)
のようなものばかり居残るのだと申します。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
雪泥の道を
躄
(
いざり
)
の足で歩き悩んでいる恰好を忠秋が認め、例の気性でおのれの館へ呼びあげたうえ、右田藤六という者を尋ねまわっている事情まで
訊
(
き
)
きだすほど親しくなった。
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
忠「京の
鴨川
(
かもがわ
)
から来た人で、只今早稲田に居ります、早稲田の高田の馬場の下辺りで施しに針を打ちます、
鍼治
(
しんじ
)
の名人で、一本の針で
躄
(
いざり
)
の腰が立ったり
内障
(
そこひ
)
の目が開きます」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あすこに白く細くちらりと見えるだろ。あれが
躄
(
いざり
)
勝五郎の物語で有名な初花の滝さ」
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
頭の中は常に活動して、
廓然無聖
(
かくねんむしょう
)
などと乙な理窟を考え込んでいる。儒家にも静坐の工夫と云うのがあるそうだ。これだって一室の
中
(
うち
)
に閉居して安閑と
躄
(
いざり
)
の修行をするのではない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
博士は、まるで
躄
(
いざり
)
のようにこの椅子車に乗ったまま、自分で動かして、外国人のいそうなところは、ピイ・ノオ汽船会社の前でも、デヒワラ博物館の近くへでも、どこへでも出かけて行った。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「彼処の流行神様は、
躄
(
いざり
)
が歩きだした」
村の怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
いずれにしても、雷ぎらいの人間を雷見舞に遣ろうというのですから、
躄
(
いざり
)
を火事見舞に遣るようなもので、どうも無理な話です。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
権現様の
出開帳
(
でがいちょう
)
に、お寺の門によたれている、
躄
(
いざり
)
ほどにも思わねえか、平気で、私かいッて
傍
(
そば
)
へ来るだ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と尋ねてみますと
老人
(
としより
)
の
躄
(
いざり
)
の非人が入口に這い出して来てペコペコ拝み上げました。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あらわしたってんでな、その季節になると世界じゅうから信者が集まって来るんだとよ、そうして
躄
(
いざり
)
も立つし、腰の
萎
(
な
)
えた人間も立つんだとさ、めくらも
聾者
(
つんぼ
)
もみんな治っちまうっていうことだ
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と十何年かの
躄
(
いざり
)
が立ち上ったように感服して
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「うちの
躄
(
いざり
)
が立った」などというのもあるし
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二部興行で、昼の部は『忠信の道行』、『
躄
(
いざり
)
の仇討』、『鳥辺山心中』、夜の部は『
信長記
(
しんちょうき
)
』、『浪花の春雨』、『
双面
(
ふたおもて
)
』という番組も大きく貼り出してある。
十番雑記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「へん、
躄
(
いざり
)
の
人力挽
(
じんりきひき
)
、
唖
(
おし
)
の演説家に
雀盲
(
とりめ
)
の巡査、いずれも御採用にはならんから、そう思い給え。」
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一体、この泊のある財産家の持地でござりますので、
仮
(
ほん
)
の小屋掛で近在の者へ施し半分に
遣
(
や
)
っておりました処、さあ、
盲目
(
めくら
)
が開く、
躄
(
いざり
)
が立つ、子供が産れる、乳が出る、大した効能。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
躄
(
いざり
)
か腰拔けならば知らず、五體滿足の人間がたゞ安閑としてはゐられない時節だ。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
躄
漢検1級
部首:⾜
20画
“躄”を含む語句
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躄者
跛躄
跛躄者
蹩躄
躄儒
躄痿
躄者車
躄音
躄魚