賃仕事ちんしごと)” の例文
盡し神佛かみほとけへも祈りしかど其しるしかつてなく後には半身はんしん叶はず腰も立ねば三度のしよくさへ人手をかりるほどなれどもお菊は少しも怠らず晝は終日ひねもす賃仕事ちんしごと或ひはすゝ洗濯せんたく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不二屋のおかみさんも遠縁とはいえ、立ち入って面倒を見てくれるほどの親身しんみの仲でもないと言った。母は賃仕事ちんしごとなどをしていたが、それも病身で近頃はやめていると言った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「では、どうぞあなたがここへ引移ってくださいませ。こんなむさい所でお気の毒ですが、たとい賃仕事ちんしごとをしてなりとも、わたしはわたしで世過よすぎをして、あなたに御迷惑は懸けませぬ」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
いつ賃仕事ちんしごとしてもおそばくらしたはうつぽどこゝろよう御座ございますとすに、馬鹿ばか馬鹿ばか其樣そのやうことかりにもふてはならぬ、よめつた實家さとおやみつぎをするなどゝおもひもらぬこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そばでは母親が賃仕事ちんしごとのあい間を見て清三の綿衣わたいれを縫っていた。午後にはどうかすると町へ行って餅菓子を買って来て茶をいれてくれることなどもある。一夜あるよこがらしが吹き荒れて、雨に交ってみぞれが降った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
しのぎつゝ親子が涙のかわく間もなくわづかの本資もとで水菓子みづぐわしや一本菓子などならおき小商こあきなひの其のひまにはそゝぎ洗濯せんたく賃仕事ちんしごとこほあぶらあかりを掻立かきたてつゝ漸々やう/\にして取續き女心の一トすぢ神佛かみほとけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見返みかへらぬとは鳥獸におとりしやつ親でもなし子でもなし見下果たる人非人にんぴにん切齒はがみをなせども又外にべき樣も有ざれば家財雜具かざいざふぐを人手に渡し其身は嫁と諸共もろともに淺草諏訪町にて裏店を借請かりうけすゝぎ洗濯せんたく賃仕事ちんしごと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)