しよ)” の例文
彼の亡父に唾棄されたり、子等に敵視され続けてゐるGこそ、心がらとはいふものゝ飛んだ役廻りをしよつたものだ! と思ふことがあつた。
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
自己が自己に自然な因果を発展させながら、其因果のおもみを脊中せなかしよつて、高い絶壁のはじ迄押し出された様な心持であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
働き疲れて草の上にあふむきに倒れて居る。若い細君らしい人が居る。畠の中で肥つた胸のあたりをあらはして、子供に乳を吸はして居る。草をしよつて通る年をとつた女もある……
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
受話器を鉤に掛けた時には、常のやうに椅子へかへることが出来ないで、重い荷をしよはせられて、力の抜けた人のやうに、椅子の上に倒れた。そして目をねむつて、長い間ぢつとしてゐた。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
黄金こがねの甕を下僕しもべしよはせて、今もこの村の真中に流れてゐるあの川の岸まで落ちのびて来たのぢやが、毎日の五月雨さみだれで水は増してゐるし、橋も舟もないし、困り切つてゐると、車の庄の家来は
黄金の甕 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
そこには私が小諸から連立つて行つた二人の娘が居る。紺色に染めた真綿を亀の甲のやうに背中にしよつて、手拭を頭に巻きつけて、私達に茶をすゝめて呉れる休茶屋の婆さんが居る。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
脊中せなか一杯いつぱいしよつて、二十日はつかなり三十日さんじふにちなり、其所そこぢゆうまはつてあるいて、ほゞつくしてしまふとやまかへつて坐禪ざぜんをする。それから少時しばらくしてふものがなくなると、また筆墨ふですみせて行商ぎやうしやうる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
番頭ばんとしよはせて持つて来た
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
私は風呂敷包を襷にして背中にしよひ、洋傘かうもりを杖につき、あへぎ喘ぎその坂を攀ぢ登りましたが、次第に歩き疲れて、お文さんの兄さんや銀さんから見ると餘程後れるやうに成りました。
ランドセル しよつて
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
とうさんはちひさなかばん風呂敷包ふろしきづゝみにしまして、それを自分じぶん背中せなかしよつてましたから
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しよつて行つた
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
『もし/\、おまへさんの背中せなかしよつてるのはなんですか。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
壁でもしよはせて
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
家をしよつて
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
しよひあるく
蛍の灯台 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
耳 しよつて
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)