讃嘆さんたん)” の例文
いつもの彼であれば、芸人冥利みょうり讃嘆さんたんのささやきを呟いてくれる、そうした人たちの方へ、礼ごころの一瞥いちべつはあたえたかも知れない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
仏国禅師ぶっこくぜんじは、善財の求道の旅を讃嘆さんたんしておりますが、いうまでもなく、獅子とは、文殊菩薩のこと、象王とは普賢菩薩のことです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
逸作は実に心中讃嘆さんたんいような気持もありながら、口ではふだんからかの女に「芸術餓鬼」などとあだ名をつけてからかって居る。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
祝着しゅうちゃくです」と勅使も、讃嘆さんたんを惜しまなかったが——「ところで、三将軍の内、彭玘ほうき将軍ひとりがここにお見えでないが?」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はことさらに叔父の前に滔々とうとうと維新の大業を論じ、上は村田清風から下は山県有朋やまがたありともに至る長州の人材を讃嘆さんたんした。
彼は、讃嘆さんたんの表情をかくすことができなかった。髪が少し乱れ、化粧もしていない顔だったが、女は充分に若く、美しく、魅力的な、あざやかな目鼻立ちをしていた。
待っている女 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしはその台所に入ってみて、いつものことながら、イギリスの旅館の、あの便利さ、きちんとした綺麗きれいさ、そして、ゆったりとして素朴な楽しさを讃嘆さんたんしたのである。
駅馬車 (新字新仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
人々はその事実を語り合って、皆検事の巧妙さを讃嘆さんたんした。彼は嫉妬心を利用して、怒りの念によって真実を現わさせ、復讐心ふくしゅうしんから正義を引き出したのであると言われた。
考証をとおして語られたこの像への讃嘆さんたんがいかにも柔軟に美しかったからであるが、私自身は観音さまが大好きであるという単純な理由のもとに、なおさら同感したのであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
瑠璃子夫人こそ、白金の時計を返すべき当の本人であることがわかると、夫人の美しさや気高さに対する讃嘆さんたんの心は、影もなくなって、憎悪と軽い恐怖とが、信一郎の心にいた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
レーニは一種の誇らしさをもって、Kが讃嘆さんたんしながら自分の二本の指を何度も何度もあけたりすぼめたりする様子をながめていたが、最後にKはその指にさっと接吻せっぷんして、放した。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
心の底から、溜息ためいきをついて、讃嘆さんたんするのである。これがほとんど毎朝のことだ。松の種子から松の芽の出かかっているのを見て、なんたる不思議さよと眼をみはるのも、この男である。
古作品がとりわけ美しいのは、そこに時代を超えたいつも新たな美があるからである。真の鑑賞は復古の心ではない。またそうであってはならぬ。永遠の相への讃嘆さんたんでなければならぬ。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
きけな神恋はすみれの紫にゆふべの春の讃嘆さんたんのこゑ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
彼は讃嘆さんたんする様に云った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あゝ讃嘆さんたん青春せいしゆん
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たくみな化粧で変貌へんぼうしたX夫人を先年某料亭で見て変貌以前を知って居る私が眼前のX夫人の美に見惚みほれ乍ら麻川氏と一緒に単純に讃嘆さんたん出来なかった事
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「光容円備、不異神功」と旧記の讃嘆さんたんせるような大観世音菩薩が刺繍ししゅうされていたという。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
彼は御馳走もほとんど口にせず、何もかも忘れて花嫁を讃嘆さんたんしているようだった。彼は他人に聞かれないような低い声で話した。愛の言葉というものは、決して大きな声で話すものではない。
動きやすい都の人心は、十年讃嘆さんたんし続けた藤十郎の王座から、ともすれば離れ始めそうな気勢けはいを示した。万太夫座の木戸よりも、半左衛門座の木戸の方へと、より沢山の群衆が、流れ始めていた。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
X夫人の美を讃嘆さんたんして居ながら、何かにせものを随喜して居るような、自分を、麻川氏を、馬鹿にしてやりいような、と云って馬鹿に出来ないような
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
爾迦夷すなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきして願うらく疾翔大力、疾翔大力、ただ我ためにこれを説き給え。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
信一郎は、心から夫人のすぐれた見識を讃嘆さんたんした。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「ははあ、讃嘆さんたんして居られますな。」
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)