護謨輪ごむわ)” の例文
最近さいきんは……もつと震災前しんさいぜんだが……土橋どばしのガードした護謨輪ごむわさつふうちに、アツとおもふとわたしはポンとくるまそと眞直まつすぐつて、車夫わかいしゆ諸膝もろひざで、のめつてた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二台の護謨輪ごむわが威勢の好い白法被しろはっぴの車夫にかれて音もなくだら/\坂を上って往って了うと、余はものゝ影が余の立つ方に近づきつゝあるに気づいた。骸骨がいこつが来るのかと思うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かの悪魔の使者は護謨輪ごむわの車に、音も立てず、そつと玄関に忍び寄つたのだつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
護謨輪ごむわは少しも音を立てず、聴く物はたゞ馬の蹄音つまおとばかりである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
護謨輪ごむわのゆけばためらひ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白い護謨輪ごむわせ去れば
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
何處どこから繰出くりだしたか——まさかへそからではあるまい——かへる胞衣えなのやうなくだをづるりとばして、護謨輪ごむわ附着くツつけたとおもふと、握拳にぎりこぶしあやつつて、ぶツ/\とかぜれる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
甲斐かいの山を見る可く、青山街道から十四五歩、船橋ふなばしの方へ上って居ると、東京の方から街道を二台の車が来る。護謨輪ごむわの奇麗な車である。道の左右の百姓達が鎌の手をとゞめて見て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
昨夜ゆうべ今夜こんやも、けると、コーとひゞこゑはるかきこえる、それがくるまおとらしい。もつと護謨輪ごむわなどと贅澤ぜいたく時代じだいではない。ちかづけばカラ/\とるのだつたが、いつまでも、たゞコーとひゞく。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)