すゑ)” の例文
維新後其技大いにれて、一時多く浅田宗伯に譲らなかつた。めぐむさんは少時医を此玄道に学んだ。清川氏のすゑは今大津に居ると云ふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼アイヌ、蝦夷島アイヌモシリかみ古伝神オイナカムイ、オキクルミのすゑ。ほろびゆく生けるライグル。夏の日を、白き日射を、うなぶし、ただに息のみにけり。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我彼に請ひていひけるは、あゝねがはくは汝のすゑつひに安息やすきをえんことを、請ふここにわが思想おもひもつれとなれるふしを解け 九四—九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かく汝らは預言者を殺しし者の子たるを自らあかしす。なんぢら己が先祖の桝目ますめみたせ。蛇よ、まむしすゑよ、なんぢらいかでゲヘナの刑罰を避け得んや。
如是我聞 (新字新仮名) / 太宰治(著)
調布てうふ街道を入つた狛江こまえ村、昔から高麗こま人のすゑが傳へた、秋祭の傅統がその頃まで殘つて居て、江戸では見られぬ異國的な盛大さが觀物だつたのです。
今の所謂基督教信者なるものに幾等いくとうか加ふるところありし、然るも基督は之を排して、まむしすゑとまでのゝしりぬ。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此の犬養春枝はけだし万葉集に名の見えてゐる犬養浄人きよひとすゑであらう。浄人は奈良朝に当つて、下総しもふさ少目せうさくわんを勤めた人であつて、浄人以来下総の相馬に居たのである。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
従来もとよりかの家は二三吉備の鴨別かもわけすゑにて家系すぢめも正しければ、君が家に二四ちなみ給ふは二五はた吉祥よきさがなるべし。此の事のらんは二六老が願ふ所なり。二七大人うし心いかにおぼさんやといふ。
……氷期の巨きな吹雪のすゑ
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし屠赤瑣々録とせきさゝろくには慶山の子は勘八、其すゑは書物目利役某で、鶴洲は只長照寺の慶山の墓を祭つてゐるのだと云つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
われ名をクルラード・マラスピーナといへり、かのらうにあらずしてそのすゑなり、己が宗族うからにそゝげるわが愛今こゝにきよめらる。 一一八—一二〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「お雪殿の生んだ、怨敵をんてき五郎次郎のたねと、此處で最期を遂げ、惡逆非道のすゑをこの世から亡ぼすのが、せめてもの望みだ。怨んでくれるなよ、玉枝殿」
蝦夷島アイヌモシリの神、古伝神オイナカムイ、オキクルミのすゑ。ほろびゆく生けるライグル、光り、かつ白きライグル
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
向井元仲は霊蘭のすゑである。霊蘭元升は肥前神崎郡酒村の人向井兼義の孫であつた。兼義の次男が由右衛門兼秀で、兼秀の次男が霊蘭であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かの美しきトリナクリアは、カルロとリドルフォのすゑ我よりいでゝその王となるを今も望み待ちしなるべし —七二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
福之助は、いかにも沸然ふつぜんとしました。伯父が殺された當夜、此家に居なかつたといふ、上等過ぎるほど上等の不在證明アリバイが、この名家のすゑの中年男をカツとさした樣子です。
ここにして十時伝右衛門のすゑの子と一夜ひとよいきほひ飲みて寝にける
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
宗家昌叱のすゑよゝ京都に住み、分家玄仍の裔は世江戸石原に住んでゐた。しかし後には兩家共京住ひになつたらしい。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
アダモの惡しきすゑは示しにしたがひ、あひついで水際みぎはをくだり、さながら呼ばるゝ鳥に似たり 一一五—一一七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
王朝時代にあづまに下つた、業平朝臣なりひらあそんすゑだとも言ひ、染井村に土着して、代々豪士として勢威を振ひ、太田道灌だうくわんが江戸にきづいた頃は、それに仕官して軍功を樹てましたが、徳川家康入府の際には
我家は菅家くわんけすゑらしたる大伯母おほをばましき敢て読みにけり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この處かく大いなる邪惡の巣となりし時こゝに殘れるローマびとの聖きすゑこれによりて再び生くべし 七六—七八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
丹三郎に迎へられて入つて見ると、大家たいけすゑには相違ありませんが、殘る昔のおもかげは、その構への立派な高い屋臺だけ、淺ましいことに、ろくな家具も無いといふみじめな有樣だつたのです。
古伝神オイナカムイ、オキクルミのすゑ
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
古伝神オイナカムイ、オキクルミのすゑ
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)