-
トップ
>
-
薄氣味
>
-
うすきみ
地震めつたになし。しかし、
其のぐら/\と
來る
時は、
家々に
老若男女、
聲を
立てて、
世なほし、
世なほし、
世なほしと
唱ふ。
何とも
陰氣にて
薄氣味惡し。
晝は
木の
洞穴や
岩の
隙き
間などにひそんでゐますが、
夜になると
飛び
出して、
大きな
目玉をぎょろ/\させて
鼠などをさらつてあるき、
薄氣味の
惡い
聲で「ほう、ほう」と、
鳴きます。
B
全く
不安を
感じるよ。
薄氣味がわるくなるよ。
遮りそれでは
未だ
御存じの
無きならん
父御さまと
兄との
中にお
話し
成立つてお
前さまさへ
御承知ならば
明日にも
眞實の
姉樣お
厭か/\お
厭ならばお
厭でよしと
薄氣味わろき
優しげの
聲嘘か
實か
餘りといへば
餘りのこと
尤も
引續いた
可恐さから、
些と
上ずつては
居るのだけれど、
鼠も
妖に
近いのでないと、
恁う
吹消したやうには
引けさうもないと
言ふので、
薄氣味を
惡がるのである。
私も
何だか、
薄氣味の
惡い
思ひがした。